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アムランのライブ映像

もう8年以上前のことになるが、当時まだ日本ではほとんど知られていなかったピアニスト、Marc-André Hamelin(マルク・アンドレ・アムラン)を有志で招聘しようというプロジェクトに参加させてもらったことがある。アムラン側との交渉や演奏会場の押さえ、チケットの販促など、様々な仕事はプロジェクトのメンバーだけでほぼすべて行われたが、そのかいあって1997年12月11、14日にカザルスホールで行われたリサイタルは大成功だった。もっとも私はほんの下っ端で、まともな仕事はほとんど何もしなかったのだけれども、それでもあれは得難い経験だったと思う。

12月11日のリサイタルにはNHKのカメラが入り、演奏は後日放送されたのだが、そのときの映像がネット上で誰かにアップロードされていた。このサイトにはホロヴィッツやシフラの映像も置いてあるようだ。少し前まではマニアだけがこっそり保持していたようなものばかりである。ほんの数年前には考えられなかったことで、時代は確実に変わってきているなと改めて思わされる。

実は12月14日の方はテレビ局が入らず、私が撮影係をすることになった。ビデオカメラのファインダーを通して、私はアルカンの超絶的な難曲が鮮やかに弾かれるのを目撃したのである。アムランはあれから何度も来日しているが、やはりこのときの演奏が一番インパクトが強かったような気がする。

私が撮影したそのビデオは関係者だけにダビングされ、門外不出……ということになったはずだった。ところが、である。その映像もやはり誰かによってアップロードされているのを見つけてしまった。どこをどう巡ったのか分からないが、「いいか、おめぇだけにダビングしてやるんだ、絶対、絶対誰にもダビングしちゃだめだぞ」「ああ、しない、絶対しない。背中断ち割られて鉛の熱湯流し込まれたって、ダビングしねえと決めたらしない」という落語の台詞と同じようなやりとりが、きっと何度も繰り返されたに違いない。

アップロードした誰かによって、ご丁寧にも "I know, the video quality isn't great... " などとコメントがつけられている。そりゃそうだろう、どこにでもあるホームビデオカメラで撮影したのだから。

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