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イベリア

また最近聴いているCDの話でも。今かかっているのは、「イベリア」である。アルベニスの最高傑作にして、20世紀に作曲されたピアノ曲の中でも最上級の完成度を誇る名作と思っている。第1集から第4集まで、それぞれが3曲セットの計12曲からなるが、どれも甲乙つけがたい。最近出たアムランの演奏も悪くないが、この曲に関しては、やはりアリシア・デ・ラローチャの演奏が一番好きだ。1973年の旧録と1986年の新録、どちらも何十回聴いたことか。何度聴いても本当にいい曲である。

Jerez.jpg「イベリア」は曲の内容もさることながら、演奏技術の難しさという点でも一つの頂点を極めた作品である。難曲たるゆえんは、演奏を見ている人に「2匹の蜘蛛が格闘しているようだ」と言わしめるアルベニスの書法にある。両手が弾く音域が激しく重なり、とんでもなく弾きにくいのだ。いかに手が衝突しないかに常に注意を払っていなければならず、例えば左手の指が入ってくるスペースを確保するために、まさに絶妙のタイミングで右手の指を退避させたりしなければならない。右は第4巻第2曲「ヘレス」の一節だが、ここは上段も下段もト音記号であり、レガートで動く右手の和音の真ん中に、左手がスタッカートで加わることが要求されている。

こんな拷問に近い弾き方をさせておいて、聞こえてくるのは甘美で情熱あふれるスペイン音楽なのだから、不思議なものだ。掉尾を飾る第4巻第3曲「エリターニャ」には今まで何度も挑戦しているのだが、そのたびに挫折してしまっている。いつかは通して弾いてみたい曲である。

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