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ホロヴィッツのピアノ

最近まで知らなかったが、ホロヴィッツが生前ずっと愛用していたスタインウェイが、去年9月から全国を回っている。元々は彼の結婚祝いにスタインウェイ社から贈られたもので、ホロヴィッツはことのほかこの一台を愛したという。そのピアノが、来月上旬に広島の浜松ピアノ社にやってくるという情報を入手。ものは試しと思って聞いてみたら、あっさり試弾の予約が取れてしまった。東京なら競争率が激しくてまず無理だっただろう。これも地方都市の役得である。もっとも、まともに弾ける人を差し置いて私が占拠してしまっていいのかという後ろめたさを感じないでもない。

ピアノ好き、それもどちらかと言えばマニアックな視点から偏愛する人間にとって、ホロヴィッツは一度は「ハマる」対象である。ラフマニノフやルービンシュタインなど、「巨匠」と呼ばれる人たちが大活躍していた20世紀前半のピアニスト黄金時代を、最も強烈に体現していた人だろう。かくいう私も、大学入学直後に何も分からずに飛び込んだピアノサークルでホロヴィッツがいかにすごいかを説き聞かされ、半信半疑で聴いた「ホロヴィッツ・アンコール」で衝撃を受けた一人である。当時の私は楽譜を勝手に改編して弾くなんてことは思いもよらなかったから、リスト=ホロヴィッツの「ラコッツィ行進曲」やスーザ=ホロヴィッツの「星条旗よ永遠なれ」の腹に響く爆音は、もうカルチャーショックと言ってもよかった。ラコッツィの後半なんて、広島の暴走族も顔負けだ。「ピアノでこんなことしてもいいのか」という驚きは新鮮だった。

こうしてホロヴィッツの魔力にとりつかれてしまうと、若気の至り、どうしても自分でも弾いてみたくなり、ついには全く技量がないのに無理やり大学祭の演奏会で挑戦するという誤りを犯してしまうのは、決して私だけではないと思う。年をとるにつれて初めて、自分はホロヴィッツにはなれないのだという当たり前の事実に気づくのである。

とはいえ、巨匠のピアノをさわらせていただくからには、何も弾けないのでは申し訳が立たない。少し練習しておかないと。

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コメント

 なんとホロヴィッツのピアノですか。マーチもすごいんですが、私的には、自分で音を増やした「展覧会の絵」(最近日本人がこの版で録音してますが迫力が全然及びません)やセルと張り合うチャイコ協1、まだモノラルラジオしか持っていなかったときに聴いた「トロイメライ」とかが忘れられません。
 のだめ~の影響で私もピアノまた練習しようと思ってはいるのですが(汗。

あの「展覧会の絵」はすごいですよねえ。「キエフの大門」は鋼鉄製ですね。
どうやったらあんな銅鑼みたいな音が出るんでしょう。
セルと張り合うチャイコフスキーは今もよく聴いています。
ラストにホロヴィッツが暴走して1秒くらい早く弾き終えてしまうところは、
何度聴いてもおかしくなってしまいますね。

うわー、いいなぁ~
群馬にはとっくに来てしまった後のようですね(ToT)ざんねん。
っていっても、もう何年もろくにピアノ触ってない私には恐れ多くて試弾なんてできないけど(笑)

ろくにさわっていないという点では私もほとんど同じですよ。
だからすごく畏れ多い気持ちはありますけど、
弾く機会を逃したらそれはそれで後悔しそうですからねえ。
しかしこんなことなら、普段からもう少しホロヴィッツゆかりの曲を練習しておくんでした。

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