« Hatto Hoax | メイン | チキとぐら »

時間のプレッシャー

先日のチェスの話の続き。私が負けたのはもちろん棋力がないからで、それがすべてと言ってしまってよいのだが、敢えてそれ以外に原因を考えてみると、やはり「タイムプレッシャーに異常に弱い」ということがあると思う。刻々と容赦なく減っていく数字、あれほど精神を不安定にさせるものはない。ほんの一瞬考えていたつもりなのに、再び時計に目をやると3分も少なくなっていたりするのだ。大きな減少に驚くのがいやになると、今度は10秒くらいですぐ時計に目をやってしまい、まともに考えてなどいられなくなる。そして持ち時間を失いつつあるという不安定な状況から一刻も早く脱出したくなり、目についた手をさっと指してしまう。かくしてあっという間に自陣が瓦解するのだ。

時間に弱いのは、何もチェスに限ったことではない。要するに、「いついつまでにこれをせよ」という類の命題がことごとくダメ。与えられた時間が十分であるかどうかということは、あまり関係がない。いくら余裕があっても、期限があるということはそれだけで黒い影として頭の片隅に住み着いてしまうのである。もちろん事務的な単純作業であればどうということはないが、問題はいくら時間をかけてもできるかどうか分からないタスクのときだ。

例えば詰将棋創作でもそうである。ある作品は考え始めてからだいたい1ヶ月くらいで完成したが、では最初の段階で「1ヶ月以内に一作完成させよ」と言われていたとして、果たして同じものができていただろうか?まず絶対無理だろうと思う。また解く方もひどいもので、昨年夏の詰将棋全国大会で行われた早解き大会では、秒を読まれてパニックになり、どうということはない3手詰や5手詰も間違える始末だ。「いくら時間をかけてもいいし、それでできなかったらできないでもいい」という環境にあるから、初めて何とかなる(ときもある)のである。このへんは数学の研究にも通じるものがあるように思う。

しかしそんな泣き言を言っているだけでは、詰将棋だろうとチェスだろうと数学だろうとうまくやっていくことはできないのが現実である。そこを何とか克服できるかどうかで、一つ上のステージに上がれる道が開けてくるのであろう。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://monsieur.ddo.jp/cgi-bin/mt_3/mt-tb.cgi/332

コメントを投稿