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世紀の音痴のライバル

少し前に、凄まじい音痴のおばさん、ジェンキンス夫人が歌うアリア集のCDをここで紹介した。私が登録しているメーリングリストに昨日流れたメールで知ったのだが、実はこういうCDはこれだけではないのだそうだ。2年くらい前に出たもので、その名も "The Muse Surmounted: Florence Foster Jenkins and Eleven of Her Rivals"。ジェンキンス夫人だけでも十分すぎるのに、あと11人もいるのかよ、と言いたくなる。

下手くそなどというありきたりの言葉では説明できないような歌唱を、全く恥ずかしがることもなく公衆の面前で歌いきってみせるというのは、やはり普通ではない。きっとこの人たちは、ただただ歌が好きで、歌いたいという自身の願望にひたすら忠実であろうとしただけなのだ。確かに歌はひどいが、根はきっとすごくいい人だったに違いない……と、遺された録音を聴いていると思いたくなる。その方が、まだ下手くそな歌を聴かされても救われるというものだ。ところが、紹介してくれた方のメールによると、そういう人物像は誤りで、現実はひどかったという。「ジェンキンスは虚栄心の怪物であり、利己的だったが、狂人ではない。安っぽい人間で、都合の悪いことは隠し、妄言を信じ、卑劣でみすぼらしく、俗っぽい女性でありながら、最大のディーヴァに匹敵するエゴだけは持ち合わせていた」。ひどい言われようだが、こういう人物像を補強するエピソードがいくつもライナーノーツに詳述されているらしい。

こんなのを聴くくらいなら、キリ・テ・カナワやキャスリーン・バトルで満ち足りた気分に浸るのがいいことは間違いないのだが、それはそれ、これはこれである。早速ネットで注文してしまうのだった。

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