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斎藤と斉藤

昔に比べると、最近はテレビを見る時間がずいぶん短くなったように思う。それもニュースやスポーツ中継など、「つけたらやっていた」番組を何となく見ていることが多く、例えば連続もののドラマ番組を見ようとして見るなどということはめっきり減ってきてしまった。今月放送開始の新ドラマ番組のラインナップなども全くチェックしていないのだが、一つだけ「斉藤さん」というドラマをやっていることは知っている。もちろんそれは内容に興味があるからではなく、タイトルがタイトルだからだ。

サイトウという名字には齋藤、斎藤、齊藤、斉藤とだいたい4つの可能性がある。「齋」は「斎」の、「齊」は「斉」のそれぞれ旧字体であるが、「斎」と「斉」は違う字である。ホームページでの自己紹介にも書いているし、近しい人はもうよくご存じであろうと思うが、私の名前は「斎藤」もしくは「齋藤」であって(戸籍は後者)、「斉藤」や「齊藤」ではない。昔から「斉藤」とことあるごとに書かれ続け、そのたびに「『示す』みたいなのを書く方のサイです」と申し訳なさそうに訂正を求めていたのだが、きりがないので最近はたいてい黙認してしまっている。もちろんサイトウはみんな斎藤か齋藤だと言っているわけではなく、斉の字を使うサイトウさんもいるので、あくまで自分の名字はこちらである、というだけの主張である。「書斎」を「書斉」、「一斉」を「一斎」とは誰も間違えないのに、サイトウという名前になると途端に区別してくれなくなる人が一気に増えるのは、何とも不思議というほかはない。

私が一番いやなのは、名前の漢字を間違われること自体より、間違った相手がそう認識してくれないことにある。以前、「斎」と「斉」は全く別の字なんですとある人に力説していたら、ずっと聞いていたその人が「いやあ、私、前も『澤田』さんを『沢田』さんって書いちゃったことがあるんですよ」と返してきてがっくり来たことがあった。「別の字」だといくら言っても、「旧字体を『別の字』だとこだわっている」と誤解されて受け取られてしまうのである。「斎藤」と「斉藤」の違いは「澤田」と「沢田」の違いではなく、言うなれば「河田」と「川田」の違いなのだ。川田じゃなくて河田ですと言われたら「あっ、間違えた」と思う人が、斉藤じゃなくて斎藤ですと言われたときは「字体にこだわる人なんだな」と心の中でつぶやく。その反応の違いこそがいやなのである。

とまあこうやってあれこれ書いてみたところで、結局「細かいことにこだわっているんだな」と思われるだけなのだろうなあ、と番組表を見ながら思うのであった。

[2008.1.18追記] 知り合いの方から、似たような趣旨の記事が出ていると教えていただいた。4つの「サイ」の字の成り立ちと関係についてだいたい昨日ここで主張したことと同じようなことが書かれており、私の言ったことが的外れではないということが分かってホッとしたが、それより驚いたのは、この記事も昨日書かれていることだ。いくらドラマが始まったからといって、同日にこれほど似た内容の文章が出ていたとは、何とも不思議である。

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コメント

私も圭市を圭一と間違えられるのが、しばしばあります。親の命名のセンスを子供の頃は呪ったものです。今は気に入っていますが...。
齋藤さんは先祖を呪ったことがあるかも(笑)

圭市さんはいいお名前だと思いますよ。確かに間違われることはときどきあるでしょうが、
下のお名前だけであの松田さんかなと分かりますし。

元々「斉」の読みは「セイ」なので、昔はサイトウは
全部「斎藤」や「齋藤」だったのではないかと思います。
おそらく江戸時代あたりに、一部のサイトウさんが
「斉藤」と名乗りだしたことが現状に至った原因ではないかと。
だからその人たちのことはちょっと呪いたいかもしれません(笑)。

 いやあ、そもそも私の名前は誰も読めないんですけど、、、。
 初めて見る人の殆どがペンネームだと思うらしい。
 私にしてみれば、「サイトウ」さんや「ケイイチ」さんは、音的にはあっているのだから、まだましだと思うのです。
 小学校の時先生が出席の時に名前が読めなくて、何度嫌な思いをしたことか、、、。
 今は気に入ってますけどね、、、。

そうですねえ、利波さんのお名前は知らないとちょっと読めないでしょうね。
「正しく読んでもらえない」というのは、「正しく書いてもらえない」とはまた別の憂鬱さがありそう。
お察しいたします。

もっとも、私の悩みは本文にも書いた通り、「正しく書いてもらえない」ではなくて
「正しく書いていないと思ってもらえない」なんですけどね。

この際、婿入りしましょう!
そして、変わった姓が「斉藤」だったりして・・・。

どちらの漢字で書くかで夫婦喧嘩になったりして……。
「『示す』だろ!」「違うわよ、二本棒!」って傍目には全く意味不明の喧嘩になりそうです。

以前、間違えた事を未だに心の中で詫び続けている様な気がします。

一時期、部下に二本線の「斉藤」さんがいて、示すの「斎藤」を書いたら「その字は斎場くらいしか使い道が無い字なのに、何故間違えるの?」と叱られた記憶があるので、苗字には無意識に二本線を書く習慣に陥ってました。
う~ん、日本語も難しいなぁ・・・

とみながさんに間違われたことなんてありましたっけ?
あったとしても全然覚えておりませんので、どうかお気になさらずに。
というか、字の違いを認識していただけるような方には私は何とも思っておりませんので。

しかし、その部下の方も何かきついですねえ。

はじめまして。ずいぶん前の話題で恐縮です。
まったく同感です。
私は説明するとき「一斉」と「書斎」を例に出して、セイとサイの違いを伝えます。「一斎」や「書斉」とはだれも書かないし皆使い分けてるのに、斎の略字が斉だと思ってる人がほんとうにおおいですよね。こだわっていたら父から、「あまり言わないほうがいい、難しいやつだと思われて得にならないから」といわれました。解脱して一皮剥けた方が、斉藤でもいいさとして現在にいたってるのかなと考えたりもします。

おお、同志が!
そうなんですよねえ、結局お父様の言われるように
「難しいやつだと思われるからあまり言わない方がいい」という結論になっちゃうんですよねえ。
私も最近は「字が違う」という心の底のつぶやきに蓋をして、あまり考えないように努めています。
どうやらこれは我々サイトウ姓(特に「齋」と「斎」の方)の宿命のようですね。

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