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春秋社の楽譜

Shunjusha.jpg去年から加古川ピアノ同好会という有志団体の演奏会に出させてもらっているが、今年は5月31日にまた神戸で行うことが確定したようだ。間に合うかどうか分からないけれど、一応また出演することを目指して、ピアノも細々と練習を続けている。曲は相変わらずスクリャービンで行くつもり。前回は練習曲オンリーだったが、今回は前奏曲やマズルカも入れたプログラムにしようかと思っている。

どんな曲を演奏するのであれ、まず問題になるのが「どの楽譜を使うか」ということだ。もちろんマイナーな作曲家であれば選択肢は一つしかないが、バッハやベートーヴェン、ショパンといった超大御所になると、楽譜を出している出版社は相当な数になる。曲が同じならどこの楽譜を使っても同じじゃないかと思えるが、実は校正や運指の指示などで微妙に違っているところがあるのである。中には印刷が曲がっていたり、誤植だらけだったりするものもあるから、注意しなくてはいけない。

ただスクリャービンに関しては、春秋社から出ている世界音楽全集という楽譜があるので安心である。一つ一つの曲の詳しい構造の解説、よく考えられた運指に加え、何と言っても徹底的な校訂がなされている。スクリャービンの楽譜は、初版であるベリャーエフ版とユルゲンソン版(後期作品)にソ連・国立音楽研究所版、ペータース版などが存在しているが、春秋社版では諸版の違いをいちいち調べたうえですべて校訂報告という形でリストアップしてあるので、信頼感が違うのだ。この世界音楽全集のシリーズはスクリャービン以外の作曲家についても優れたできばえであり、特に複雑怪奇な譜面のせいで誤植のオンパレードが当たり前だったアルベニスについては、春秋社版が事実上の決定版といっていいと思う。

ただ大変残念なことに、このシリーズのスクリャービン全集は全7巻のうち第5巻のマズルカ集と第7巻の小品集が未刊となっている。編集と校訂をされていた伊達純氏が亡くなってしまったためだ。最後に刊行されたのが第4巻の前奏曲集で、それからもう8年以上経っているから、多分このまま出ないのだろう。仕方なく、Doverの安いリプリント版でマズルカを譜読みするのだった。

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コメント

スクリャービンはちゃんと取り組んだことがないので良い情報を得ました。ありがとうございます。

バッハ、モーツァルトほか大御所作曲家の楽譜については、まず原典版を使用します。作曲家の書いた記譜にないはずのスラーやスタッカートが、たくさん補足されたおかしい楽譜がかなり存在しますから。

ショパンについては、前回のショパンコンクールの際、ヤン・エキエール版が最高だと誰か御偉い方が推奨していたようですが、かなり使いにくかったです。

私は譜読みの段階が一番疲れます。指使いの選択に1週間くらいかかってしまいます。。。譜読みが楽しいという人が羨ましいです。

譜読みが疲れるということは、それだけ譜読みに真摯に取り組んでおられるということだと思います。
私なんかいい加減なもので、たまたま動いた指でそのまま弾いたりしていますから……。

大御所作曲家については、まず原典にあたるというのが基本の姿勢なんでしょうね。
スクリャービンの場合はベリャーエフ版が「原典」に相当することになると思いますが、
印刷の質があまりよくなくて譜面がねじ曲がっているページがあったりします。
春秋社の楽譜は、曲の特徴や成立過程なども解説されているのがまたいいと思います。

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