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エビを折る

Lobster2.jpgLobster1.jpg今日はエビを折ってみた。作者はスペインの折紙作家、Manuel Sirgo Álvarez。昨夜から折り始めて、今日の空いた時間をすべて費やしてやっと完成した。沈め折りを17回もさせられる苦難に満ちた行程で、途中で折図と微妙に違っているように見えたところもあったが、最終的には何とか完成形までこぎ着けた。しかし、できてみるとただグロテスクな物体を作っただけという気もする。折図では長い触覚は真っ直ぐ前に延びていたのだが、伊勢エビっぽくするために後方に折り曲げてみた。まあ触覚がどちらを向いていようと、あまりおいしそうには見えないことだけは確かだ。

私見では、ÁlvarezはRobert J. Langと双璧をなす正統派コンプレックス系作家と言っていいのではないかと思っている。とにかく細部まで緻密に設計されており、リアルな造形を目指すことに妥協がない。それだけに折りは困難を極めるが、一方でいわゆる「ぐらい折り」が少ないので、忠実に折図をたどることができさえすれば(それが難しいのだが……)、できあがりがまるで違ったものになったりすることは案外少ないのではないかと思う。

PaperMaking.jpg難しいことは分かっていたので、今回は初めて市販の折紙用紙ではなく、自分で紙を作るところから始めた。何を折るかにもよるが、一般に複雑系折紙は何重にも折り込むので、紙は十分薄い必要がある。そこでよく使われるのが、包装紙の一種で通称カラペと呼ばれる薄葉紙だ。しかしカラペだけでは腰が弱いので、さらにアルミホイルを裏打ちする方法がしばしばとられる。今回はこれに挑戦してみたのだ。

やってみると、カラペとホイルを均一にぴたっと貼り付けるのが非常に難しい。スプレーのりをアルミホイルに吹きつけてからそうっとカラペを置くのだが、よほど慎重にやらないとスジ状に空気が入ってしまうのだ。さらにそのステップを何とかクリアしても、次にこれを正確な正方形に切り抜くという作業が待っている。1ミリでもずれたら使えないので、かなり集中しなければならない。ちょっと細部にほつれができてしまったが、どうにか40cm四方の紙を切り出したのだった(この作業は昨晩のうちにやっておいた)。これは何度か経験を積まないとうまくならないだろう。

(折紙モデル:"Langosta común", Manuel Sirgo Álvarez "Papiroinsectos y Otros Origamis Exóticos"(Salvatella)、
[英訳版]"Lobster", Manuel Sirgo Álvarez "Origami Bugs and Beasts"(Dover Publications) 所収)

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コメント

書き込むタイミングが遅れました。救急車のご厄介になっておりました。働きすぎだそうで・・今、帰宅しゆっくりしています。

私は3月2日に「お雛様」を折りました。といっても、ナッツーさんのような芸術ではなく、ほんのささやかなものです。

先日テレビで、「吉澤章氏は、手を合わせて祈りを捧げ、紙に命を吹き込む」というのをやっていました。こういうお話を聞くと心が癒されます。

救急車とは……大丈夫でしょうか?
帰宅されたということはそれほど大したことはないのだと思いますけど、
どうかお大事になさってください。

お雛様は子供のときに折ったことがあります。
当時私が持っていた本には、男びな・女びな以外にも
三人官女に五人囃子、さらに随身に仕丁まで折り方が出ていました。
全部折るつもりでいましたけど、結局三人官女くらいで
モチベーションが切れてやめてしまったように思います。

最近は折紙の洋書をときどき買っていますが、吉澤章氏はそこでも折紙の
"the master" (あるいはローマ字で "sensei") としてよく紹介されています。
やはりこの世界では特別な存在になっているようですね。

紙から用意するなんて凄いです!写真をみるとほのかな光沢があってとてもかっこいいです。natsuoさんの技術があれば、この紙で複雑昆虫系もどんどん折れそうですね。

ところでアルミホイルは折れ目をつけたあとで、逆向きに(やまたに逆に)折ろうとすると折線がずれてしまってもとの折れ目どおりになりにくい気がしますが、今度の紙はそういう困難は無かったでしょうか。新作発表時には折り心地等も含め、また教えて下さい。

いつもコメントしてくださってありがとうございます。反応していただけると折ったかいがあります。
おっしゃる通り、アルミを裏打ちすると紙にうっすらと光沢が出るので、
この伊勢エビを折るなら紙の接着から始めたいと思っていました。
実際やってみると紙が薄いのに非常に破れにくくて折りやすく、実用面からも有効だなと感じました。
多分普通の折紙用紙だったら、きっと途中で破れてしまっていたと思います。

アルミは確かに折る方向を逆転させることが難しいですよね。
ただ今の場合はカラペと接着されているので、カラペ側の折り目に
うまく誘導されてそれほどずれずにすむようです。
もっとも、そのためにはやはりきれいに接着されていることが大事ですから、
最初に紙を作る作業がかなり重要であるように思いました。

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