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フーガの魅力

次の演奏会が来月末だからそろそろ真面目に練習しなければいけないのだが、まだ今ひとつ身が入らない状態でいる。まともに弾けていない箇所がまだたくさんあるのに、一通り譜読みがすんだのをいいことに、つい他の曲に手を出してしまうのだ。先月まではプロコフィエフの「シンデレラ」をずっとやっていたが、今月は「バッハ月間」になりそう。朝食のときによくバッハをかけているので聴く方はほぼ毎日なのだが、ときどき弾く方もたまらなくバッハが心地よくなる期間がめぐってくる。今一番気になっているのは、リスト編曲の前奏曲とフーガイ短調。オリジナルはオルガンである。この曲が入っているRian de WaalのCDを久しぶりに聴いていたら、耳について離れなくなってしまったのだ。今日の午後は楽譜を出してきてフーガの冒頭を弾いてみていた。やっぱりいい曲である。

この曲に限らず、フーガというのは実に魅力的な形式だなとつくづく思う。静寂を破って単音の旋律が聞こえてくる。バッハはこの旋律からして実にいいのだが、しばらくして低音域からその旋律が遅れて登場し、またしばらくするとさらに低音の領域で新たにメロディーが生まれる。しかもそれらはカノンのようにただずれて流れ続けるというわけではなく、お互いが有機的に絡み合うべく少しずつ姿を変えてゆくのである。干渉し合いながらも融合してしまうわけではなく、かといって分離してしまうわけでもない。つかず離れずの状態を保ちながら全体が大きくなっていき、いつの間にか巨大な音の塊ができていくのだ。それはまるで、微生物が自己増殖を繰り返して巨大化していく様のようである。もしかしたらフーガを弾く心地よさは、生物を創造する神になった気分から来ているのかもしれない。

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コメント

私は平均律第1巻嬰ハ短調のフーガが好きです。中盤で主題がリズムを変えて重なってくるところの感動的なこと!

フーガを弾く喜びは、各パートを支配下に置く指揮者の楽しみと共通するものがあるかも知れませんね。

なるほど、指揮者というのはこういう感覚を持ってやっているんですね。
嬰ハ短調のフーガ、私も好きです。

私は聴くのも弾くのも、バッハ(とモーツァルト)がとてもすきなのです。
‘指揮者’で思い出したのですが、ある指揮者(名前を忘れました)が言った言葉、
「バッハの発つキリスト信仰の力は、私をより一層謙虚にさせ、より一層幸せにする」。
あらゆる音楽は神を称えるために、そして人間の心を喜びで満たすために鳴り響く、という概念を持つバッハの音楽の証なのだと思います。

その言葉を言ったのはカール・シュトラウベですね。
時期的にはクラシック音楽の入口に近いところに位置していながら、
未だにこうして人を引きつけてやまないバッハの音楽は、やっぱり偉大ですね。

お~、さすが教授!恐れ入りました。。。

いやいや、教授なんかじゃないですので……。検索したら
http://www5b.biglobe.ne.jp/~michimar/movie/kaiga021.html
などにも出ていましたよ。

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