« 2008年04月 | メイン | 2008年06月 »

2008年05月31日

神戸でスクリャービンを再び弾く

演奏会に出るため、朝広島を発って神戸に向かった。今回の会場は新神戸駅からすぐのところなので、遠方から参加するには大変都合がよい。お昼頃に到着し、本番前にほんの5分ほどだけ試し弾きさせてもらう。Blüthner社のピアノで多分さわるのは初めてだったが、かなりタッチは軽めに感じた。

自分の出番は午後4時40分頃。今回のホールは出演者専用の出入り口がなく、客も演奏者も同じ扉から出たり入ったりする形になっていた。前の部までは休憩時間に一人の観客として出入りしていたのに、演奏時だけホールに入って客席ではなく舞台上のピアノに歩いていくことになる。そのせいか、いつも以上に「突然」演奏を始めた気分だった。漫然と演奏会の進行を見守っていたら、なぜか次の瞬間、ピアノの前に座っていたという感じである。まあ、余計な緊張をしないという意味ではこの方がいいのかもしれない。ただ演奏については予想通りで、最後のOp.42-5は指が全然回らなかった。その前の3曲だけでもうまくやろうとしたのだが、3曲目のOp.42-4の聴かせどころで大きなミスをしてしまったのが残念。まあ今回は参加することに意義があると思って来たのだから、もうこれで十分だろう。

終了後、三宮方面に移動して打ち上げ。2次会まで参加し、11時半頃にホテルにたどり着いた。さて、これで半年に一度のピアノモードはひとまず終了。

2008年05月30日

演奏会前日

演奏会前日というのに、普段と何も変わらぬ一日を過ごす。日中はもちろん仕事に行っていて何ができるわけでもないが、終わったらすぐピアノスタジオに直行して最後の猛練習をするという選択肢もあったはずだった。しかし直前にどうあがいたところで、結局弾けないところは弾けないのだ。それに2週間ほど前に、練習室でガンガン弾いていたら急に熱っぽくなってその後数日調子を崩したことがあった。今月は体調不良に悩まされることが多かったため、何をやるにも慎重になっているのである。

それでも先ほど、電子ピアノの音を十分絞って一回控えめに弾いてみた。うーん、やっぱり弾けていない。まあよい、所詮は遊びだ。学生時代にサークルの演奏会に何度も出て、開き直りの技術だけはずいぶん上達したように思う。

2008年05月29日

また締切ギリギリ

ここ数日、プロブレム・パラダイスの原稿を書いている。締切は今月末。前回の原稿も締切ギリギリに大慌てで書き、次はこうはなるまいと思っていたのに、今月はずっと体調を崩していたために結局同じようなことになってしまった。おまけに明後日の演奏会に向けてピアノの泥縄練習もしなければいけない。要するにいろいろ手を出すからいけないのだが、どうしてこうも重なってくるものかと思う。来月になればもう少し余裕ができるだろう。

そういえば、演奏会当日はそのまま三宮に一泊するのだが、翌日をどう使ったものか。真っ直ぐ広島に帰ってもいいが、もし元気があれば大阪まで足を伸ばして、3月に行きそびれたチェス喫茶を偵察してくるという手もある。まあ当日の体調およびやる気と相談というところか。

2008年05月28日

Leonid Kubbel's Endgame Study No.47


46番を少しだけ改良したもの。Kubbelが実際にこの手直しをして発表したのは1924年であり、さらに翌年に出版された150 Chess Studiesにも第1番として収録された。自分の初めての作品として愛着を持ちながらも、少しでも作品らしい形にして残しておきたかったのだろう。

2008年05月27日

非常勤講師五回目

火曜日なのでいつものように午後からH大に向かった。大型連休中に2週間連続で火曜日が休みになったため、もう5月も下旬だというのにまだこれが5回目の講義である。例年、6月の第2週あたりに中間試験をやっているので、今年も同じ時期にやりますと先週宣言してしまったのだが、あれは失敗だった。よく考えたらいつもより進行が2週間も遅れているのだから、試験の時期も遅らせるべきだったのだ。もう試験問題の素案はあらかたできていたけれど、とても予定していた試験範囲を消化できないので、一部差し替えなければいけなさそうである。

それはともかく、今日は久しぶりに「普通に」すべてがすんでよかった。このところ、鼻水がひどかったり微熱と食欲不振に悩まされたりで、毎週しんどい思いをしながらの講義が続いていたのだ。終了後にT君と夕飯に行ったとき、苦もなく食べ切れたことに感謝したのであった。

2008年05月26日

映像のテスト

少し前から、このブログで映像を流すことが可能かどうか考えていた。もちろん動画投稿サイトへのリンクを埋め込むことはできるのだが、そうではなく、映像ファイルを自宅サーバに置いて、見る人がストレスなく視聴できるかということである。古いノートPCをサーバに流用しているのだが、こういうコンテンツがあるとどれくらい負荷がかかるのかよく分からないのだ。試しにファイルを置いてみるので、もし見られない、あるいは映像や音声に何らかの問題があるという方は、コメント欄などでその旨お知らせいただければと思う(Adobe Flash Playerがインストールされていないと多分見えない)。映像は、昨日自宅で撮っておいたスクリャービンの前奏曲Op.16-1。

このファイルを再生するためにはAdobe Flash Playerをインストールする必要があります。

2008年05月25日

Wさんと対談

お昼少し前に家を出て広島駅に向かった。詰将棋とチェスプロブレムの世界における日本の第一人者であるWさんが、学会に出るため広島にこの週末いらしていたのである。今日京都に戻られるので、せっかくだから会ってちょっとお話ししましょうということになっていたのだった。

駅前の本屋で落ち合い、駅ビルの中にあるスターバックスで詰将棋とプロブレムにまつわるあれやこれやの話を2時間ほど。先日の詰将棋解答選手権の出題作をめぐるエピソードも聞けたし、最近亡くなられた花沢正純さんが遺したノートの中身がいかにすごいかという話も聞けた。これから起きる出来事としては、「博士の愛した数式」の小川洋子さんによるチェスを題材とした小説がまもなく世に出るとのこと。Wさんがチェス関係については全面的にバックアップされているようなので、チェスファンも納得できる内容なのは間違いない。中身についてもちょっとうかがった。ここに詳しくは書かないことにするが、アリョーヒンが物語に関係してくるようである。これは今から読むのが楽しみだ。

2時頃、改札口でWさんとお別れした。夕方はまたピアノの練習。今日は木定楽器店で1時間ほど。

2008年05月24日

泥縄の練習

演奏会が間近に迫っているというのにあまりに練習していないので、少しはちゃんとしたピアノにさわってこようと思い立ち、お昼頃浜松ピアノに電話してスタジオを1時間押さえた。普段よく行く木定楽器店のピアノがちゃんとしていないわけではないが、浜松ピアノはフルコンのスタインウェイを弾かせてもらえるのである。いつも演奏会前に一回は行くことにしている。

夕方、雨の中を出かける。予約した時間に浜松ピアノに行くと、偶然にも店内にはBGMとしてスクリャービンの前奏曲が流れていた。部屋に通されると早速練習開始。うーん、やはり全然ダメ。Op.42-5は指が全く回っていない。集中して練習すべきなのだろうが、弾き方がそもそも間違っているのだろう、この曲を一回通しで弾くと両手とも消耗しきってしまい、数分はまともに力が入らなくなってしまうのである。だからしばらくの間は他の静かな曲を練習して、筋肉が休まるのを待つしかないのだ。スクリャービンは若いころにリストの「ドン・ジョバンニの回想」を練習しすぎて右手を痛めてしまい、まともに動かせなくなってしまった。その影響で彼の曲は左手に負担のかかるものが多いということになっている。確かに左手の音域は非常に広くて演奏困難だが、私に言わせれば、痛めたわりには十分右手も酷使していると思う。あんな不自然な手の開き方を要求されるのでは、腱鞘炎にならない方がおかしい。

そんなわけでときどき手を休めつつも、何とか1時間練習を続けた。本番まではこういう泥縄の練習をなるべく繰り返す必要がありそうだ。

2008年05月23日

演奏会プログラム

今月末に行われる演奏会のプログラムが決まったので掲載しておく。当日お暇な方は是非。

加古川ピアノ同好会第22回演奏会
2008年5月31日(土)神戸芸術センター・プロコフィエフホール(新神戸駅より徒歩4分)
12:45 開場 / 13:00 開演 / 17:45 終演予定 (入場無料)

【第1部】 13:00~
1. 佐藤 祥子バッハイタリア協奏曲BWV971
2. 高橋 幸枝 (Sp) ステファノ・ドナウディ私の愛する人
伴奏:宮尾 幹成新井満(訳詞・作曲)千の風になって
宮川彬良(編曲)
小沢不二夫(詞)リンゴ追分
米山正夫(曲)
3. 河村 真一チャイコフスキー『子供のためのアルバム』Op.39より
No.7「お人形の病気」
No.8「お人形の葬式」
No.6「新しいお人形」
ショパンノクターン第13番Op.48-1
4. 古宮 雅子シューベルト即興曲Op.142-1
5. 須藤 みかげショスタコーヴィチ交響曲第10番Op.93より第2楽章
高沖 秀明(作曲者による連弾編曲版)「スターリンの肖像」
6. 坂田 恭子プーランク夜想曲第1番、第7番
+サプライズの1曲
【第2部】 14:20~
1. 加川 みどりヘンデル組曲第8番
2. 水沢 望ショパンエチュードOp.10-3, 10-4
3. 向井 希実子シューマン『謝肉祭』よりNo.1, 5, 6, 11, 19, 20
4. 須藤 みかげラフマニノフ前奏曲Op.23-4,6
5. 木坂 正史プロコフィエフピアノソナタ第6番Op.82より第4楽章
6. 高沖 秀明間宮 芳生エチュード-ショピニアーナ
ラヴェル『夜のガスパール』~スカルボ
【第3部】 15:35~
1. 小笹 真砂子メトネル『六つのおとぎ話』Op.51より第1曲、第3曲
2. 水尾 晃子ショパンバラード第1番Op.23
3. 小笹 真砂子ラヴェルラ・ヴァルス
加藤 英雄
4. 宮尾 幹成ウィリアム・ボルコムGraceful Ghost Rag
グレン・ジェンクスGymnoraggy
フランク・フレンチBelle of Louisville
5. 加藤 英雄カプースチン変奏曲Op.41
プロコフィエフ束の間の幻影Op.22より
モーツァルト(ヴォロドス編曲)トルコ行進曲
【第4部】 16:45~
1. 斎藤 夏雄スクリャービン前奏曲Op.16-1, マズルカOp.40-1
練習曲Op.42-4, 42-5
2. 西村 英士メシアン『鳥のカタログ』より第9曲「ヨーロッパウグイス」
3. 奥村 真依子ドヴォルザーク『新世界』第4楽章
八木 良平
4. 大和 誉典アルベニス『イベリア』第1集より第3曲「セビーリャの聖体祭」

一応私も出演するのだが、今月はずっと体調を崩しがちで、ほとんど練習できないままに来てしまった。身体の方は何とか復調してきたが、ピアノの方はもはやとても間に合いそうにない。特に最終曲のOp.42-5は形をなしていないほどできておらず、今から取り下げようかとも考えているくらいである。まあ今回はオリンピックよろしく、参加することに意義があると思うことにしたい。

2008年05月22日

Leonid Kubbel's Endgame Study No.46


本作は、印刷されたものとしてはKubbelの初めての作品である。彼はまだ13歳になったばかりで、さすがに底の浅さは否めない。Kubbelによれば、本作が掲載されたサンクト・ペテルブルク紙は1904年12月25日付だったとのことだが、おそらくこれはロシアの旧暦の日付で、現在の暦では1905年1月7日付ということになる。なお、次の47番は本作の別ヴァージョン。

2008年05月21日

近代将棋六月号

帰りに近くの本屋に寄り道して、近代将棋の6月号を買ってきた。将棋世界とともに毎号買い続けてきたが、ついにこの6月号をもって休刊となる。幾多の名作詰将棋が発表され、詰将棋の世界が発展していくうえで詰将棋パラダイスとともになくてはならない存在だったと言っていいだろう。最近は柳田氏による詰将棋黙示録の連載記事が充実していたし、前号からは石杉遼氏による推理将棋の連載も始まり、詰将棋ファンにとっては楽しみなページが増えてきたところだっただけに、この発刊休止はますます残念でならない。

「今の将棋界は斜陽産業」とは、一昨年新人王になった糸谷四段が表彰式の挨拶で述べた言葉である。確かに目新しくて人目を引く娯楽が次々に生まれる今の世の中、将棋のような古式然としたゲームが人気を維持するのは難しいことかもしれない。しかしその一方で、今行われている名人戦の中継がネット上でそれなりに盛り上がっている状況を見ると、将棋というゲーム自体はまだまだそこらへんの娯楽をよせつけない普遍的な魅力を持っていると思う。今後何かのきっかけで日がまた登り始めることを期待してやまない。

2008年05月20日

公休願い

勤務先の居室にいると、お昼頃に卓球部の学生が訪ねてきた。曰く、「卓球の大会に出場が決まっているので、公休願を書いてください」。聞けば今週末にある卓球の中国大会に出ることになっているが、ちょうどそのときにある授業で試験をやるそうで、大会があるから欠席させてほしいと先生に申し出たところ、では卓球部の顧問に公休願いを書いてもらってくるようにと言われたのだそうだ。そう、私はなぜか卓球部の顧問になっているのだった。大学の場合こういうのは名前だけで、1年に一回、予算関係の書類にハンコを押すことしか仕事がないのが普通なのだが、こんなこともやらされることがあるのだ。これこれこういう大会に出るのでご配慮をお願いします、と一筆書けばいいらしいので、明日までに書いておくと返事をした。

午後はH大に移動して非常勤講師の4回目。ちょっとまた体調を若干崩していてちゃんとできるか少し心配だったが、案外無難にこなせた。

2008年05月19日

爪楊枝と職が消えた話

ネットを巡っていたらこんな記事を見つけた。アメリカの中学校で、先生が爪楊枝を消す簡単なマジックを生徒に披露したところ、「魔法を使った」と問題視されて何と解雇されてしまったのだそうだ。眉唾物かと思ったが、テレビニュースで報道しているようだから事実なのだろう。そのマジックの映像も見られるが、とりわけ強烈に不思議な現象を見せたというわけでもないような気がする。それこそ「子供だまし」のレベルだ。こんなことでクビにされるのではたまったものではない。自分も去年、学生にやれと言われて下手くそマジックをちょっとやったことがあったけれど、魔法使い扱いされなくて本当によかった。

マジックをする側としては、当然ながらより不思議に見える現象を追求する。どうやってやったのか見当もつかないと思わせようと、あの手この手を考えるわけだ。しかしそれはあくまで魔法のように「見える」だけで、本当の魔法ではないと相手が了解していることが、当然ながら大前提になっている。一番底にある「本当はそんなことは起こらないはず」という意識があるからこそ、目の前の現象との整合性がとれずに見る人は悩むのだ。その部分を「魔法だ」という説明で解決されてしまっては、もうどうしようもない。まあアメリカの場合は宗教的な問題も絡んでいることが多くコトはそう簡単ではないのだろうが、人に何か芸を見せるときは芸の内容にとどまらず、その場の雰囲気や見る人に与える影響にいたるまで、よく注意しておかないといけないな……と改めて思いをいたした次第。

2008年05月17日

禁じられた遊び

すでに出版されてから2週間以上経ってしまったが、遅ればせながら巨椋鴻之介氏の詰将棋作品集「禁じられた遊び」を買ってきた。昭和30年代を中心に活躍し、中長編詰将棋の名手として一時代を築いた著者が、作品の手順解説はもちろん、成立過程や当時の時代背景、詰将棋に対する考え方などを語り尽くした一冊である。評判を聞いて期待していたが、果たしてその期待に違わぬ作品集だった。

巨椋鴻之介氏というと、数年前に何となく詰将棋の世界に足を踏み入れた青二才の私にとっては、ずっと謎の詰将棋作家であった。ほとんど唯一とも言える手がかりは、「近代将棋図式精選」に採録されている何作かの作品のみ。しかしそれらがどれも素晴らしいものばかりだったから、詰将棋界における巨匠の一人という認識はもちろんあった。今回の作品集を手にとることで、やっとこの作家の全貌を知ることができたわけである。

この作品集、作品の素晴らしさもさることながら、特筆すべきはその間を埋める著者の味わい深い文章である。これまで詰将棋の大作家の作品集は何冊も出てきたが、作品解説を通して著者自身が歩んできた人生をここまで追体験できる本は、おそらく初めてではないだろうか。著者の詰将棋に対する考え方、他の詰将棋作家とのやりとり、詰パラや近代将棋を舞台にしたエピソードなどが語られ、当時の詰将棋界の雰囲気がくっきりと伝わってくる。自分が詰将棋の作品集を出すことなどあり得ないけれども、もしそんなことがあったらこんなスタイルで書いてみたい、と思わせてくれる本である。

ところで、巨椋鴻之介というお名前がペンネームであり、著者が仏文学者の佐々木明氏であることは以前より分かっていたが、今回初めて知ったのは、佐々木氏が一時期は数学を志していたということであった:

ところで、簡潔さ、単純さに対するこうした好みの、真の原点は何だろうか。それはおそらく数学である。私は大学の後半でフランス文学へと転じたが、それまでの情熱は数学であった。そのことと詰将棋の関係について言うべきことは、詰将棋アタマがむしろ理科系のものだというようなことではない。私はある種の解法や証明の無駄のない簡潔さを、この世でもっとも美しいものと感じた。その美しさの記憶は、数学のすべてを忘れた私のうちに、今も遠い光のように残っている。詰将棋を作るとき深いところで導きの糸になっていたのは、十五歳から二十歳の時期に心に焼きついた、その種の美しさであるに違いない。(「禁じられた遊び」82ページより)

本書を読んでいて、巨椋氏の詰将棋観にいちいち共感するところが多かったのは、もしかしたらこのことも関係しているのかもしれない。

2008年05月15日

Leonid Kubbel's Endgame Study No.45


前の44番と同じく、2つのBの威力でQを持つ敵をツークツワンクに追い込む問題である。底本には変化手順の記述が少なかったため、調べてつけ加えておいた。

2008年05月14日

アムランの新盤

ピアノマニアで作るメーリングリストからうれしいニュースが入ってきた。ついにMarc-André Hamelinが弾くJ. Strauss=GodowskyのCDがこの夏に発売されるらしい。アムランによる「芸術家の生涯」のライブ録音は昔聴いたことがあったが、彼の演奏による交響的変容三部作すべての録音が世に出るのは今回が初めてである。これは是が非でも買わなければいけない。

ゴドフスキーというと好き嫌いの分かれるショパンエチュードの編曲がまず思い浮かぶかもしれないが、文句なしに楽しめるのは何といってもこの「交響的変容」三部作であろう(実際には四部作だが、4番目の作品は左手一本のために書かれたもの)。ヨハン・シュトラウスII世の有名なワルツの旋律が縦横無尽に駆け回り、絡み合い、響き合って豪華絢爛な音の空間をつくり出す。元になっているのはワルツ「芸術家の生涯」、喜歌劇「こうもり」、ワルツ「酒・女・歌」の3曲。どれも演奏は超絶的に困難であり、特に1曲目の「『芸術家の生涯』の主題による交響的変容」の難しさは筆舌に尽くしがたい。あとの2曲は若かりしころに自分も挑戦したことがあるが、当然ながらまるで歯が立たなかった。こういう曲は中途半端な腕の人間が弾くべきではない。曲を知っている人には聴いていてもどかしいだけだし、知らない人にはただ難しくしただけの曲と誤解されかねないからだ。いくつもの旋律が絶妙に調和し「交響的に」流れる、その心地よさこそがゴドフスキーの真骨頂であり、聴く人がそれを堪能できるためには技術的な困難などものともしないヴィルトゥオジティが必要なのである。その意味で、アムランほどうってつけのピアニストはいないだろう。

もう10年以上前のことになってしまったが、当時まだ日本ではほとんど知られていなかったアムランを招聘したときのことを思い出す。動いたのはピアノサークルの先輩たちだったが、私も下っ端として招聘メンバーの一員に加えさせてもらっていた。十人くらいで成田空港に行って彼を出迎えた後、成田エクスプレスで新宿に移動し、どこかのレストランに入ったのだが、私は緊張もあってそこまでほとんど言葉を交わしていなかった。私は下っ端だし、他のメンバーに比べればピアノについては無知だし、まあ隅っこでおとなしくしていよう。そう思っていたら、招聘メンバー代表のKさんが
「ほれ、斎藤君、カンバセーションインフレンチ、せんの?」
といきなり水を向けてきたのである(アムランはカナダ人なのでフランス語も達者なのだ)。突然言われてどぎまぎしながらも、そのときこわばった顔でアムランにした質問が
「えーと、ゴ、ゴドフスキーの『変容』4部作を録音されるつもりはないんですか?」
だった。もちろんすらすらそんなことが言えるわけはなく、前日に仏作文してこしらえておいたたった1つの質問がそれだったのだ。そのときのアムランの答えの第一声が
"J'aimerais bien."
だったことはよく覚えている。それに続けて、今はいろいろ事情があってちょっとできそうにはないんだけど、というようなことを言っていたと思うが、彼も録音する気はあるんだなとそのときから密かに期待して待っていたのだった。あれから10年、やっと出るのかと思うと、何とも感慨深い。

2008年05月13日

水もしたたる

扁桃炎と熱はすっかり治まったのに、今日は鼻水という別の敵がやってきた。子供のときから風邪をひくたびに悩まされてきたが、鼻水がとめどもなく出てきてどうしようもない。今日はひたすら耐えるしかないなと覚悟した。

3週間ぶりの非常勤講師の日だったので、午後からH大に移動する。勤務先の大学を出るときにはまだ薄曇りという程度だったのに、山陽自動車道を走っている最中にバラバラと大粒の雨が窓ガラスを打ち始め、H大の駐車場でエンジンを切るのと同時に雷鳴が轟き始めた。何ともタイミングの悪いことに、車から建物内に避難するわずかの間に最も風雨が激しくなり、折りたたみ傘を差していたのにびしょ濡れである。それで講師の控室に飛び込んで窓の外を見たら、道行く学生が傘をたたんで平然と歩いているのだから、自分の運の悪さを嘆きたくもなろうというものだ。あの手この手で、人が完全に復調するのを少しでも遅らせようと天が画策しているのではないかと思いたくなる。講義の方も始終鼻水がしたたり落ちそうになるのでつらいことこのうえなく、ずっとすすり上げていたら今度は頭がつんとする状態になってきて、これまたしゃべり続けるのがしんどかった。

夕飯はまた学生時代の同期で今はH大に勤めるT君と。鼻水のせいであまり落ち着いて話ができなかったが、旧友とあれこれ話すのは気分がリフレッシュされてやはりよいものだ。9時半頃帰宅。

2008年05月12日

胃カメラを飲む

実は金曜日から日曜日にかけて、扁桃腺が腫れて微熱が出ていた。通常ならこの程度の不調は何とも思わないのだが、今回はちょっと不安になってしまった。というのも、年末年始3月下旬に続き、熱を出すのが今年に入って三度目なのだ。こんなに頻繁に発熱するというのは、何か根本的な原因があるのではないだろうか?おりしも先月の末あたりから、胃にしばしば痛みを感じるようになっていた。もしかしたら、この頻繁な体調不良と胃痛は関係があるのではないのか。どうにも心配になってきたので、金曜日は大学を早退させてもらって近所の胃腸科に行ったのである。とりあえず扁桃炎と熱が治まるのを待って、週明けに内視鏡で胃を見てみましょうということになった。

で、今日その内視鏡検査をしてきたわけである。幸い扁桃炎と熱は昨日までにだいたい終息していた。実は胃カメラを飲むのは初めてでそちらの不安もあったのだが、鎮静剤を打たれて眠りに落ちている間に、いつの間にか終わってしまっていた。診断結果は、何カ所か炎症を起こしてはいるが他は別に悪いところはなく、炎症もひどいものではないので胃薬を飲んでいれば治るとのこと。ひとまずホッとした。実のところ、何かあるかもしれないという不安自体が胃に悪影響を与えていた面もあるので、これでよい方向に向かうと期待したい。

とはいえ、よく体調を崩しているのは事実。要するに無理の利かない年齢にさしかかったということなのだろう。

2008年05月11日

甲羅模様つきのカメを折る

OrigamiPondTurtle2.jpgOrigamiPondTurtle1.jpg今日はカメを折ってみた。といっても以前のものとは違い、甲羅の模様まで折り出す上位ヴァージョンである。紙は35cm四方の市販折紙用紙。当然一日でできるはずはなく、だいぶ前から少しずつ折り進めていて、ようやく今日完成したものだ。作者はもちろんRobert J. Langで、彼一流の折紙設計技術は本作でも遺憾なく発揮されている。メインパートともいえる甲羅模様の折り出しはそれらしくできたのだが、手足の指の細かい表現はどうもうまくいかなかった。紙の裏の白が見えてしまっているので、表裏同色の紙を使った方がよかったかもしれない。リアルなカメに近づける最終調整も、紙が硬くなってしまっていてほとんどできなかった。まあカメに見えればそれでよしとしよう。

OrigamiTurtleFamily2.jpgOrigamiTurtleFamily1.jpg先月折ったカメも出してきて並べてみた。今回のものははるかに複雑で、同じ大きさの紙で折れば折り上がりは小さくなったはずだが、だいぶ大きな紙を使ったせいで結果的には一回り大きいサイズになっている。こうして並べるとカメの親子のようだ。親ガメと子ガメがいると重ねてみたくなるのはなぜだろう?多分私だけではないはずだ。

(折紙モデル:"Western Pond Turtle", Robert J. Lang "Origami Design Secrets"(A K Peters Ltd.) 所収)

2008年05月10日

昨日の名人戦

昨日から若干体調を崩し気味なので、家でおとなしくしていた。

しかし昨日の名人戦第3局は面白かった。どう考えても森内名人の勝ちという状態がずっと続き、控室に詰めていた棋士たちがもう勝負は決まったと検討を打ち切った後の大逆転。誰かが言っていた「50年に一度の逆転劇」というのはやや大げさだと思うが、そう言いたくなるほど逆転前は形勢に差がついていたということだろう。

この間チェスを指したときにも何度も思ったが、優勢になったあとにそれを実際の勝利に結びつけることのいかに難しいことか。将棋やチェスにおいて、ある意味では勝つための最も重要なポイントであるとすらいえるかもしれない。対局中に自分が有利になると、これは行けそうだという期待が無意識のうちに気のゆるみを生む。相手が粘ってなかなか決めきれないと、こんなはずではないのにという焦りも出てくる。この形勢なら勝って当然という思いが、いつの間にか自分にプレッシャーとなってのしかかってくるのだ。そしてどこかで、うっかりポカを指して逆転されてしまうのである。有利になっても気を緩めず、不利になってもひたすら耐えて粘れることは、きっと強くなるための必要条件なのであろう。

それにしても、以前のNHK杯戦と同じように、羽生二冠が大逆転で勝つとネット上での反響がまるで違うような気がする。将棋人気復活のときが来るとしたら、やはり鍵はこの人が握っているような気がしてならない。

2008年05月09日

Leonid Kubbel's Endgame Study No.44


次の45番も似た構成の作品なので、比較されたい。3. Bb5!の一手を見て、若島正氏作の難解な15手詰(近代将棋1975年1月号)に出てくる8五角という妙手を連想した。

2008年05月08日

近代将棋休刊

すでに先月の末あたりからあちこちで噂にはなっていたが、どうやら近代将棋誌がこの17日に発売される6月号をもって休刊するというのは事実らしい。5月号の発売が突如大きく延期されたときによぎった不安は、やはり杞憂ではなかったのだ。将棋世界誌とともに全国の書店に並ぶ数少ない老舗将棋雑誌だっただけに、残念の一言につきる。詰将棋作家としては自作を発表する場がまた一つ失われたことになり、もはや恒常的に存在する投稿先は将棋世界か詰将棋パラダイスだけということになってしまった。自分は近代将棋に作品を投稿したことはなかったが、そのかわり一昨年横浜で行われた詰将棋全国大会の報告記事を載せていただいたことがあった。多少なりとも自分が関わった雑誌が消えてしまうというのは、やはりさびしいものである。

私が将棋に一番熱を上げていたころ、書店には少なくとも将棋世界、将棋マガジン、近代将棋、将棋ジャーナルの4誌が書店に並んでいた。私の記憶では、当時一番よく買っていたのは初心者向けの記事が多かった将棋マガジンだったように思う。投稿詰将棋は確か9手詰までの短手数作品ばかりだったが、当時の私にとってはそれはそれは難しく、懸賞詰将棋がなかなか解けずに悩んでいたものであった。解けたときは解答をはがきに書いて送っていたが、そうしたら何回目かに千通くらいの中から何と見事1等の黄楊彫駒が当たってしまった。もったいなくて封を切らずにずっととっておいたことをよく覚えている。懸賞の類であのレベルの倍率のものに当たったのは、あのときが最初で最後である。

その将棋マガジンも90年代半ばになくなってしまった。将棋ジャーナルもすでにそのころ廃刊になっていた。そして今度は、近代将棋が消えてしまう。将棋が再び人気を取り戻し、新雑誌が創刊されるような日は来るだろうか?

2008年05月06日

連休終わり

大型連休も今日で終わり。昨日までは毎日早起きしなければいけなかったが、最終日にしてようやくアラームに起こされずにすんだ(もっとも、親に起こしてもらった日もあったけれど……)。2時少し前に実家を後にする。ある程度の混雑は予想していたので発車時刻の30分以上前にもうプラットホームに着いたが、すでに自由席車両には行列ができていた。やはり連休最後の日、混み方は並ではない。乗車を待つ人たちの3割くらいが「東京ばな奈」の紙袋を持っていたが、これも今の時期ならではの光景だろう。

7時過ぎに広島に到着。横川駅近くのカレー屋で夕飯をすませ、8時過ぎに我が家に帰ってきた。

さて、これで非日常な日々は終わり。今月中に片付けなければいけない仕事がたくさんたまっている。明日から頭を切り換えてやっていこう。

2008年05月05日

ゴールデンオープン最終日

ああ、やってしまった……最後の最後でやってしまった。
  相手のレーティング
1. 1398         白番 27手 勝ち
2. 1561         黒番     負け
2局目の手数がないのは忘れたのではなく、恥ずかしいので書いていないだけである。チェスを指す人でここを見に来ている方は、自分が今まで最も短手数で負けた対局を思い出してほしい。その手数の半分以下であることは断言できる。もしかしたら3分の1以下かもしれない。全く手順を知らず指された経験もないマイナーなオープニングだったが、とりあえず数手適当に進めて形が決まってきたらプランを考えよう……と思った次の瞬間、ルール覚え立ての初心者でもやらない手を指してしまった。魔が差したとでも言うしかない。悄然とすることになるかもしれないとは思っていたが、まさか愕然とする羽目になるとは……何より、対局を楽しめなかった相手の方に申し訳なかった。

その前の1局目は、おそらくこの3日間で一番うまくいったと言えるくらい、気持ちよく勝てたのである。何より、相手の方がルイ・ロペスのチゴリン変化を採用してくれたのがよかった。決して得意だというわけではなく、ただチェスにおける矢倉定跡のような存在である(と個人的に思っている)ルイ・ロペスを、一度がっぷり四つに組んで指してみたいと思っていたのだ。それが実現したうえ、結果的には反撃させずに詰みを読み切ってメイトに追い込めた。すべて思っていた通りに事が運んだのである。よし、これであとは最終決戦にすべてをかけるだけだ、と意気軒昂に2局目に臨み、その冒頭でいきなりすべてが終わってしまったのだった。まあ結局、集中力がすぐ切れる自分にはあまり実戦のチェスは向いていないのかもしれないという気がした。

終了後、Hさんと二人で品川駅に行って反省会。とはいってもチェスの話は半分くらいで、残りは仕事に関することや他の趣味の話など。8時半過ぎに店を出て改札口前でお別れした。

さて3月から続いた自分にとってのチェスシーズンもこれで一段落。しばらくは頭を休めたい。とりあえず、月末の演奏会に向けて空いた時間はピアノを練習しよう。

2008年05月04日

ゴールデンオープン二日目

ゴールデンオープン二日目。昨日、つまらないブランダーはしないようにしようと自分に言い聞かせていたのだが……どうも言い聞かせ方が足りなかったようだ。
  相手のレーティング
1. 1750         黒番 37手 負け
2. 1451         白番 45手 ドロー
3. 1465         黒番 33手 負け
ということで0勝2敗1引き分けというやや残念な結果に終わった。1局目は押しつ押されつのいい勝負で、もう少しでドローという雰囲気になりかけた瞬間、久しぶりの大ブランダーを放ってしまい、一発で終了してしまった。相手のOさんとは3月に九州選手権で一度対戦しており、そのときはまぐれで勝たせてもらったのだが、そう何度もうまくいくわけがない。博多の敵を蒲田で討たれたわけである。2局目は中盤の入口で悪手を指してしまい、いつの間にやら2ポーンダウン。投了したくなるのをこらえて指していたら、最後の最後で相手のKを追い込むことに成功し、相手の残り時間が少なくなっていたことも手伝って、ドローを勝ち取ることができた。結局これが今日獲得した唯一のポイントだったので、あきらめずに粘ってよかったと思う。

そして3局目、これがひどかった。いったん序盤でいきなりメイトの危機にさらされるも、間一髪で抜け出して逆に優勢の局面を築く。これはもらったと内心1ポイントを皮算用していたのだが、ああ何ということか、対応を間違えてまさかの大逆転。勝勢を勝利に変えるのが難しいことはよく承知しているが、失敗してドローにするならともかく、あれだけ駒得していて負けるというのではお話にならない。Hさんの話では、私が今日対戦した方々は皆レーティングの数字よりずっと強い人だったらしい。首都圏には強い人が多いためにどうも東京と地方でレーティングの相場にかなり差ができているようで、首都圏でもまれている人たちはかなりレーティングが低めになっているようなのである。まあどうこう言ったところで負けは負け、これが自分の実力なのであろう。

終了後、Tさん、Oさん、Hさん、Sさん、Fさんと一緒に6人で、京急蒲田駅近くの中華料理屋「乾杯楼」で夕飯。いろいろお話ができて、成績が悪くてやや沈みがちだった気分も一気に楽になった。結局、こうやって趣味を通じて知り合うはずのなかった人たちと知り合う、それが趣味の一番の楽しみではないかと思う。

2008年05月03日

ゴールデンオープン一日目

さて、今日からゴールデンオープンである。3日間にわたる大会に出るなどというのはもちろん初めて。上位に入ろうなどという分不相応なことは考えず、負けてもいいからとにかく最終日まで指すこと、できればただ取られのような大ポカをせずにチェスらしい棋譜を残すことを目標とした。さてその結果は……
  相手のレーティング
1. 1774         黒番 41手 負け
2.  877         白番 38手 勝ち
3. 1258         黒番 55手 勝ち
ということで2勝1敗の2.0ポイント。自分の現在のレーティングが1628なので、普通に格が上の相手には負けて格下には勝ったともとれるが、負けた方はともかく、勝った2局も簡単ではなかった。1局目は中盤の入口までいい感じだったのだが、そこでちょっとしたブランダーを指してしまい、それで若干士気が下がったこともあってたちまち押されて負けてしまった。2局目は序盤から若干有利になるものの、なかなかピースアップするところまで行かない。これだけレーティングに差があって勝てなかったらまずいなあと焦りを感じ始めたときにようやく敵陣突破に成功したが、優勢になるまでにずいぶん時間がかかってしまった。そして輪をかけて消耗させられたのが3局目。中盤までほぼ互角かやや苦しいぐらいの展開で、相手のミスにつけ込む形でようやく形勢有利に持ち込んだものの、そこからの相手の粘りがすごかった。これで決まっただろうと思うと、絶妙の受けでしのいでくるのである。あれはレーティング1200台のプレイヤーの受けではない。最後はお互いのKが対峙しながら動き回るポーンエンディングになり、こちらのPの成りが完全に確定したところでようやく試合終了となったが、終わるまでに2時間半くらいかかり、二人ともくたくたになってしまった。とはいえ、この3局目は初めてチェスらしいエンドゲームまでじっくりと指せたので、充実感はあったように思う。

終了後、同じく今大会に参加しているHさんと近くの中華料理屋で夕飯。Hさんも今日は負け、勝ち、勝ちの2勝1敗ということで、初日から反省会のムードになることはひとまず避けられた。ホテルの前でお別れし、蒲田駅からJRに乗って帰宅。さて、明日もつまらないブランダーをせずに3局指すことを目標にしよう。

2008年05月02日

実家に移動

午前中に4年生の卒研セミナーをすませ、学食でC定食を食べるとすぐ家にいったん戻る。適当にチェスの本をバッグに詰め、1時半過ぎに家を出た。どうせ全部読めるはずがないと分かっているのに、一応これも、あとまあこれもとつい何冊も詰め込んでしまう。まあよい、こういうのはお守りみたいなもので、手元にあることに意味があるのだ。

連休手前の金曜日ということで新幹線は少し混雑しているかと思ったが、乗ってみるとそれほど大したことはなかった。N700系でコンセントが使えたので、ノートPCをつないでチェス盤をピコピコと動かす。4時間近くも乗っているのだからずいぶん勉強になったと言いたいところだが、実際はかなり居眠りをしていたような気がする。明日指すというのにまるで緊張感がない。

7時過ぎに実家に到着。このところ、実家に帰るのと合わせるように熱を発して寝込むということが続いており、実のところ今日もちょっと心配だった。すっかり自分の体調管理に自信がなくなってしまっているのである。幸い、今のところは何とか大丈夫な様子。持ってきた本を少し眺めたら、明日に備えて今日はさっさと寝よう。

2008年05月01日

チェス本のもらい物

実は一昨日の詰備会の席上、思わぬもらい物をしてしまった。普通詰将棋と推理将棋でともに傑作を生み出し続けているNさんが、「今日はチェスの本を持ってきたんです」と言って1冊の洋書を取り出した。Nさんは仕事でアメリカに4年住んでいたことがあるそうで、周りに将棋が指せる相手がいなかったから、それならチェスでもと一時期やっておられたとのこと。そのとき、少し勉強しようと書店でたまたま手にとったのがこの本だというのだ。見せてもらうと、これが何とDvoretsky & Yusupovの "Technique for the Tournament Player" ではないか。チェスの本は毎年かなりの数の解説書が出版されていて、中にはどうしようもないのもあるが、たまたま買ったのがこれとは、さすがに目が肥えている。斎藤さんが持っていた方がいいからとおっしゃるのでありがたくいただいてしまったが、この1冊だけでも岡山まで出ていったかいがあったというものだ。

とはいえ、明後日から始まるゴールデンオープンの役に立てるにはさすがに遅すぎた。昨日、今日とパラパラと目を通したが、こんな難しい本は何ヶ月もかけてじっくりと少しずつ読んでいかないと、とても内容を消化できない。Mark Dvoretskyはチェスコーチとして世界的に有名な人で、この人が書く解説書はとにかく本格的なのである。まあこの本は今後時間をかけて見ていくことにしよう。