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亀趺の話

午後の新幹線で広島に戻ってきた。車内は新大阪から岡山あたりが一番混雑していたが、全体的には空いていたような気がする。広島駅から自宅へはまずお隣の横川駅に在来線で移動してからバスに乗るのだが、バス停で待っているときに吹いてきた風の涼しさにはびっくりしてしまった。4日前にこちらを発ったときは半袖だったのだ。バッグに長袖も入れておいてよかった。彼岸を過ぎてからの季節の進みは着実である。

車内では、昨日神保町で買った「亀の碑と正統」(平勢隆郎著・白帝社)を読んでいた。今月上旬に萩を訪れた際、萩毛利家の菩提寺で亀に支えられている妙な形をした墓前碑をたくさん見かけてから、あれはいったいどういうものなのだろうと少し気になっていたのである。中国に由来する亀趺(きふ)という風習であるということは分かったが、なぜ亀なのか、また亀のわりに獣のような顔をしているのはなぜなのか。亀趺についての専門書はこれくらいしかないようで、東京に出たときに買っておこうと思っていたのだった。この本によれば、亀をかたどった石碑が最初に登場したのは後漢時代で、いったん姿を消したものの南北朝時代に再び登場し、唐のころに定着した。亀であることは、いわゆる四神(青龍・朱雀・白虎・玄武)の玄武と関係があるようだ。中国で作られた亀趺はいずれも亀らしい顔をしており、獣首は見られない。一方、中国の風習が伝わった朝鮮半島では、新羅時代の後期から固有の様式に変化し、頭部が獣の首に変わっていった。秀吉の朝鮮出兵時から江戸時代に、こうした風習が日本に伝わってきたということらしい。日本各地に亀趺はいくつか残されているようで、今後またどこかを旅行するときには探してみることにしよう。

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