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フェアリー詰将棋の世界

今月号の詰パラを見ていたら、後ろの方に出ているフェアリー作品を集めたコーナーに「最悪自殺詰」のことが書かれていた。ずいぶん穏やかでない名前で、知らない人が聞いたらぎょっとするのではないかと思うが、これもいわば変則詰将棋の一種である。通常とは異なったルールの詰将棋はまとめてフェアリーと呼ばれている。

通常ルールでない、と一口に言ってもいろいろなパターンがある。普通の将棋にはない駒が登場したり、駒の配置によってそれぞれの動き方が変わったりと、ヴァリエーションは膨大だ。その中でも基本的なフェアリールールは、攻方と受方の指し方に変更を加えるものである。大雑把に言うと、普通の詰将棋は
○攻方がなるべく相手の玉が詰むように王手をし、一方の受方はなるべく詰まされないような手で応じる
ということができる。これを変えると、次のようなヴァリエーションが存在することになる。
○攻方はなるべく相手の玉が詰むように王手をし、受方もなるべく自玉が詰まされるように応じる(ばか詰)
○攻方はなるべく相手の玉が詰まないように王手をし、受方はなるべく自玉が詰まされるように応じる(最悪詰)
○攻方はなるべく相手の玉が詰まないように王手をし、受方もなるべく自玉が詰まされないように応じる(悪魔詰)
このうち、双方が協力して受方の玉を詰めることを目的とする「ばか詰」は、フェアリー詰将棋でも一番の人気ルールだ。

これに加えて、さらに作品のゴールを「受方の玉を詰める」から「攻方の玉を詰める」に変更するという方向がある。つまり、相手の玉に王手しながら自分が最後は詰められてしまうのが目的になるわけだ。これと先ほどのフェアリールールをミックスすると、さらにヴァリエーションが増えることになる。
○攻方はなるべく自分の玉が詰むように受方玉に王手をし、受方はなるべく攻方玉が詰まないように応じる(自殺詰)
○攻方はなるべく自分の玉が詰むように受方玉に王手をし、受方もなるべく攻方玉が詰むように応じる(ばか自殺詰)
○攻方はなるべく自分の玉が詰まないように受方玉に王手をし、受方はなるべく攻方玉が詰むように応じる(最悪自殺詰)
○攻方はなるべく自分の玉が詰まないように受方玉に王手をし、受方もなるべく攻方玉が詰まないように応じる(悪魔自殺詰)
これを読んでどういうルールなのかスッと理解できたという人がいたら、その人は相当ディープな詰将棋マニアになれる素質があるといっていいだろう。ついていけないしついていきたいとも思わない、というのが一番常識的な反応ではないだろうか。詰将棋マニアの間でも、こういう自玉を詰めるフェアリー作品まで解いたり創ったりする人はだいぶ限られるようである。特に最悪自殺詰はきわめて珍しく、今月号によると正式に発表された作品は未だに1作しかないのだそうだ。マニアの世界の深みは果てしない。

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コメント

 最悪詰とか、悪魔詰とか、言っちゃ悪いけど命名センスがないと思うんですね(笑)。ただでさえ取っ付き難いジャンルなのに。

「実戦初形からの条件付バカ詰及びバカ自殺詰の総称」としての推理将棋という命名は、この点なかなかいい線いっているのではないでしょうか?

そうなんですよねえ、この名前がねえ。最悪だの自殺だの、やっぱり語感がよくないと思うんです。
こういう知らない人が初めて聞いたら眉をひそめるような名前は、本当は何とかしたい気はしますね。

推理将棋については、受け入れやすい名前ということを意識して命名されましたから、
その点からいってもうまくいきましたね。普及にこの名前も大いに貢献していると思います。

斎藤 様

 小林看空です。
 詰の目的に対してはいろいろな呼び方が提案されていますが、私個人としては、チェスとも連動して、下記のような呼称を提案していますが、なかなか容認されていません。


       詰めるという目的に対して(selfmateはこの逆となる)

              詰め方  相手
------------------------------------------
かしこ詰 directmate  協力  抵抗
ばか詰  helpmate  協力  協力
悪魔詰  anti-helpmate 抵抗  抵抗
最悪詰  anti-directmate 抵抗  協力 

===========================

詰将棋の場合最短で詰めることは要請されていないので、私としては、王手するという条件のついたendgameと思います。

悪魔詰はアンチばか詰(もしくはアンチ協力詰)、最悪詰は、アンチかしこ詰、もしくはアンチ詰ということになりますかね。

では。

どうも、コメントありがとうございます。
こんな適当な一文をフェアリーの大家に見ていただいて大変恐縮です。

つまりチェスのように「アンチ」をつけることでなるべく対応しようということですね。
なるほど、確かに毎回新たな名前を引っ張り出してくるよりその方が合理的かもしれませんね。
もし広まりにくい理由があるとすれば、日本語では「アンチ」という言葉が特定の野球チームなどを
嫌うという意味で使われる状況が非常に多く、そのせいで純粋に「反対の」という本来の意味から
語感が微妙にずれてきてしまっているから……というくらいでしょうか。思いつきですが。
こういうのは言葉の持つニュアンスが関わってくるだけに難しいですね。

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