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交差多面体を折る

OrigamiFiveTetrahedra2.jpgOrigamiFiveTetrahedra1.jpg折紙とはつまり紙を折ることでできる造形であるが、狭義の意味では「正方形の紙1枚を切ることなく折るだけで表現する」ことを指しており、これは「不切正方形一枚折り」と呼ばれる。今まで折ってきたものもすべてそうだ。その意味でいうと、今日折ったものは厳密には折紙ではないことになる。複数の紙を使っており、さらにそれぞれの紙にはさみを入れているからである。しかしこのようにいくつも同じパーツを作成して一つの大きなオブジェをまとめる作品は「ユニット折紙」と呼ばれ、一つのジャンルを形成している。今回折ったものは正四面体が5つ絡み合ってできており、とがったそれぞれの頂点の凸包がちょうど正十二面体になるようにできている。これは1995年にThomas Hullによって発表された交差多面体で、"Five Intersecting Tetrahedra" (FIT) と名前をつけられた。ユニット折紙にしたのはFrancis Ow。紙は15cm四方の市販折紙用紙10枚で、それぞれ3枚の短冊に切り分けて30枚の長方形にしている。はさみを使うのはここまでで、あとはそれぞれを折って組み合わせるだけである。組む際に糊やセロテープの類は全く使っていない。各ユニットは隣の支柱に挟み込まれて折り曲げられるため、互いにつなぎ止める力が働いて容易には外れないのである。こうして手で持ってみると何やらエッシャーの絵のようだ。

OrigamiFiveTetrahedra3.jpgこれまで折ってきたものとは異なり、これは折るステップ自体は至極簡単だ。短冊を折って細くし、お互いとつなぐためにフラップとポケットを作るだけ。1ユニット折るのに5分もかからない。問題なのはこれらを組み合わせる工程である。1つ目の四面体に2つ目、3つ目と絡み合わせていくにつれ、どこにどうユニットを通せばいいかがどんどん難しくなる。もちろんいい加減に絡ませればいいわけではなく、ルールに従って組み合わせなければいけない。多分これで合っていると思うのだが、ユニットを組み合わせる過程で微妙な角度のずれが出てしまい、一部のユニットは圧迫されて若干ひしゃげてしまった。もう少し丁寧に折ればもっときれいにできただろうが、ちょっと各ユニット作成の過程が単調すぎるので、もう一度折るまでにはしばらく時間をおきたいところだ。

著名な折紙作家であり物理学者でもあるRobert J. LangはこのFITを一般化し、多々面体 (Polypolyhedra) なる概念を定義した。これは複数の同型な多面体からなっていて、各多面体の面は交差しているがそれぞれの稜線は交差していないという多重多面体構造を持っているものである。彼は群論を用いてこれを分類し、54個の位相的に異なる多々面体が存在することを証明した。そのすべてがユニット折紙で実現できるそうで、実際LangはFITとは別の新しい多々面体の作例を発表している。

(折紙モデル:"Five Intersecting Tetrahedra", Thomas Hull and Francis Ow, http://kahuna.merrimack.edu/~thull/fit.html で折図入手可能)

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コメント

お~!「ダ・ヴィンチの星」のように美しいですね。色合わせのセンスもポップでいいすね~。

原色系の色は動物などを折る普通の折紙ではあまり適さないことが多いですからね。
こういうときにでもまとめて使わないと。

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