« 非常勤講師に行く | メイン | Leonid Kubbel's Endgame Study No.87 »

詰将棋課題コンクール

2月から3月にかけて、プロブレム・パラダイスのページで詰将棋課題コンクールの課題作募集が行われていた。その選考結果の発表が先日プロパラブログに出たのだが、驚いたことに何と自作が優秀作になっていた。これは正直言って全く予想していないことだった。

詰将棋課題コンクールはまだ始まったばかりの試みで、今回が2回目である。このところ時間もなくて詰将棋を創っておらず、元々なかった創作技術がさらに衰えてきた私にとっては、このコンクールはあくまで傍観するものであり、自分が投稿しようという気は当初は全くなかった。というより、創れそうもなくて投稿できないと感じていたのである。ところが3月に入ってから、ジャッジを務める高坂さんが「まだ作品が全く集まっていない」と嘆いておられることを知り、少し創る努力をしなければいけないのではないかと思うようになった。何しろ今回与えられた2つの課題のうちの1つは「複数解またはツイン」。この課題がチェスプロブレムのヘルプメイトに触発されたものであることは明らかだった。そして自分はプロパラ誌上においてそのヘルプメイトのコーナーのエディターをしているのである。ある意味では、詰将棋を創る人間の中で一番この課題に慣れ親しんでいるともいえるわけで、それで何にもしないというのは信義に悖るのではないか。いい作品は創れなくても、投稿数を増やすことには貢献できるだろう。ダメ元で考えるだけ考えてみようと思い立った。

TTT02.jpgとはいえ、最近は忙しくて詰将棋をゆっくり考えている時間などとてもとれそうにない。そこで先月の大阪出張の時間を利用することにした。行き帰りの新幹線の車内と滞在中のホテルで将棋ソフトを動かして考える。それで何か創れればそれでよし、ダメならあきらめようというつもりだった。その結果こしらえたのがこれだったのである。

本作はツインであり、配置を一部入れ替えることによって別の詰将棋になるようにできているが、見ての通りそれぞれはルールとして詰将棋になっているというだけで、何の価値もない。だから対照性がこれの存在価値のすべてであり、片方の解の
駒Aで王手→打歩詰→駒Bを捨てて打開→駒Aで詰め上がり
というストーリーのAとBがもう1つの解で入れ替わるという構造が主張になっている。ヘルプメイトで「ジラヒ」と呼ばれるポピュラーなテーマに打歩詰を絡めたものだ。ただ6手目の玉方の手が、解a)では攻方の駒を取る手なのに解b)では玉が逃げる手になっており、ここは対照性が乱れてしまっている。それに何より従来の価値基準から詰将棋として本作を見たとき、やはりこの手順はあまりにつまらなさすぎる。多分詰将棋を知っている人の9割9分は、「これのどこがいいの」と言うだろう。

2つの解でしっかり対照性が表現されていながら、それぞれも詰将棋として見てそれなりのものになっている……というのが理想だったが、やはりそれは自分には無理な注文だった。それでも送ってしまったのは、ひとえにそもそもの創作動機が投稿数を増やすことに貢献したいということにあったからである。だから優秀作に選んでもらえるとは全く思ってもみなかった。もちろん悪い気はしないけれど、人目につかないだろうと思ってこっそり出したものが公開されることになってしまい、ちょっと恐縮している。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://monsieur.ddo.jp/cgi-bin/mt_3/mt-tb.cgi/1051

コメントを投稿