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フランドルの呪画

フランドルの呪画(のろいえ)」をようやく読み終わった。ずいぶん前に買ってあったのだが、どうにも忙しくて読んでいる時間が全然とれなかったのだ。数百年前に描かれた絵画をめぐるミステリで、事件の謎を解く鍵として提示されるのが、その絵に描かれたチェスの対局である。物語の中にチェスが登場する小説は珍しくないが、「フランドルの呪画」ではそのゲームの内容と現実に起きる事件が密接に関わっており、読んでいくと盤面図が幾度となく登場する。特筆すべきは、部分的にレトロ(逆向き解析)の要素が取り入れられていることだ。つまり提示された盤面に対し、「最後に指された手は何か?」と過去を推理する場面が出てくるのである。レトロはその性質上、元々ミステリを連想させるところがあり、レイモンド・スマリヤンはホームズが次々とレトロの問題を解いていく「シャーロック・ホームズのチェスミステリー」というユニークなレトロ問題集を書いている(この本はレトロの入門書として最適だ)。しかし本格的なミステリの中にレトロを組み込んでいるのは、ほとんど例がないのではないだろうか。残念ながら、どちらの手番だったかは盤面以外の情報を頼りにするなど、厳密な意味でのレトロの問題にはなっていない。しかしストーリーの整合性を保つには、これくらいは仕方がないだろうと思う。

ミステリなのであまり内容についてはふれずにおくが、チェスが指せる人ならかなり面白く読めると思う。ただ、訳文が一部おかしいように感じることもあった。もちろんオリジナルが分からないので確かなことは何も言えないのだが、特に盤上の駒の動きを解説しているくだりで、その説明と局面が微妙に食い違っているように思われるところが何カ所か出てくるのである。もっとも、話の全体にそれほど影響はないので、あまり気にしなければ問題ないだろう。

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コメント

「ハリーポッター~賢者の石」で、ハリーが人間より大きいチェスで戦うシーンがありますが、ご存知ですか?ハリーがチェスで難関突破するシーンでは、(私はチェスが全く分かりませんので)映画製作者側の‘こだわり’が気になるところです。

ハリーポッターにチェスが登場することは知っていますが、映画は見ていないんです。
なまじチェスや将棋を知っていると、映画などで出てくるたびに局面が気になってしまいますね。

「シャーロック・ホームズのチェスミステリー」は、英語版をチェスセンターで、そして日本語版は以前持っていたのですが古書店に売却してしまいました。こういったレトロ問題は、論理的思考が問われる複雑なもののようですね。数字によるクロスワード等とはまた一味違った感覚なのでしょうか?プロパラでも、レトロが解けたのは短手数ものばかりでした…。ちなみに、詰将棋選手権も終わったみたいですね。わかしまさん方の報告が将棋世界誌に載っていました。

レトロは純粋に論理の積み重ねだけで正解にたどり着けるので、数学の証明に非常に近いものがあります。
ただ問題によっては論理が非常に長くなるので、慣れるまでは大変かもしれません。

詰将棋解答選手権では、私は広島会場の責任者でした。
http://monsieur.ddo.jp/blog/archives/2009/04/post_881.html
に当日の模様が書いてあります。

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