« ラヴェルを弾いてみる | メイン | チェスの勉強会 »

「クープランの墓」の楽譜

毎日蒸し暑い日が続いている。寝苦しくてなかなか寝つけないからか、今朝はすっかり寝坊してしまって大慌てで出かけることになってしまった。朝食の時間がなかったので猿のようにバナナを食べるだけで家を出たが、結構腹持ちがよくて助かった。

昨日の話の続き。ラヴェルというとまず思い出すのは、昔は楽譜が高かったということだ。以前にも書いたことがあるが、Durand社が独占的に楽譜を扱っていたころは、1万円を超えるような楽譜もあったように記憶している。フランスで買えばずっと安いということは分かっていたが、まだ今のようにネットを通じて海外から個人輸入するようなことはできない時代だった。ほんの15年くらい前の話である。

1995年の春、家族旅行でパリを訪れたとき、私は友人から「クープランの墓」の楽譜を買ってきてくれと頼まれていた。もちろん日本でもヤマハやアカデミアで買うことはできたが、とにかく高かったのである。楽譜屋がどこにあるのかよく知らなかったが、たまたまサン・ミシェル広場からセーヌ川沿いに少し歩いたところに "MUSIQUE" と書かれた店を見つけた。どうも楽譜の古本屋のようなところで、壁一面に雑然と楽譜が並べられている。ラヴェルはどこだろうと眺めていたら、何か探しているのか、と後ろから声をかけられた。なぜかそのときの光景はよく覚えている。
"ヴ、ヴザヴェルトンボードゥクープラン?"
"de Ravel?"
"ウィ."
店主はすぐ後ろの棚からDurand社と一目で分かるクリーム色の楽譜を1冊取り出し、バサッとカウンターに置いたのだった。表紙か次のページの右上に「79F」と書いてあった。まだ通貨がフランだったころで、そのときの為替レートは1フラン20円くらい。円が異常に高かった時期で、つまり1,600円くらいで買うことができたのだった。日本では倍以上はしていたから、かなりお得な買い物だった。

今手元には国内の出版社が出した「クープランの墓」の楽譜がある。値段は1,100円。時代はすっかり変わった。Googleのストリートビューで見たら、あの楽譜屋は今もサン・ミシェル広場のそばでちゃんと営業しているようである。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://monsieur.ddo.jp/cgi-bin/mt_3/mt-tb.cgi/1162

コメント

今は、デュラン社の日本語版ですと、国内で昔の4分の1の値段で購入できるので、本当に助かっています。

変わりましたよね。あのころはラヴェルを始め、20世紀の作曲家の楽譜は本当に高かった……。

 私も中学生の頃に大阪のササヤという楽譜屋(まだ駅前ビルじゃなかった頃)まで行ってマーラーのスコアとかが高すぎて買えなかったのを思い出します。
 著作権が切れるタイミングもあるでしょうが、ラヴェルは展覧会の絵編曲がしばらく演奏できない時期があったり(だからストコフスキー版ができたとか)と、妙に権利が厳しかったような。

 ところで、ドーバーのピアノ楽譜を初めて買おうと思っているんですが、指遣いなんて基本的に書いてないですよね。バッハとかは原典版でしょうし。
 (仏英パ)組曲+ゴルトベルク+インベンションで1400円、平均率1&2で1000円とか安すぎ。版はあまり気にしないし気になってから高いのも買えばいいんでしょうが、自分で指遣い決めるのはたいへんなわりにそれば自分にベストかどうかも分からないしで迷っています。

私がササヤに行ったのは大学生になってからでしたので、初めて行ったときはもう今の場所にありました。
大阪で楽譜を探すといえばあそこですよね。

ドーバーは何しろ安いので、とにかく譜面を知りたいというときには重宝しますね。
ドーバー版バッハは持っていませんが、おそらく同じ版と思われる譜面を
PDFにして収録したCDが家にありまして、それを見ると指遣いはやっぱり出ていないようです。
まあ曲にもよると思いますけど、まずドーバーでやってみて、指遣いがないことに不便を強く感じたら
別の楽譜も買ってみるというくらいでもいいんじゃないでしょうか。

 回答ありがとうございます。
 ササヤ最初はよく覚えていませんが、心斎橋筋とかの駅から遠かったんですよ。

 やはりそうですよね。1冊試しに買ってみます。
 pdfで必要なページだけプリントアウトするのは良さそうですね。ぶ厚い譜面やページめくりしないですむように必要なところだけどうせコピーするくらいなら。
 ポップス中心にディスプレー式の譜面が使われているようですが、電子書籍みたいにそういうのが一般的になればかさばらないし、演奏中の譜めくりもやりやすそうです。書き込むのがどうなるか。

私が持っているのはCD Sheet Music:
http://www.cdsheetmusic.com/
です。私が買ったころとはジャケットのデザインなどが変わりましたが、
多分中身は同じものなのではないかと思います。
長大な組曲から1曲だけ練習したいという場合には、
必要なところだけ印刷して持ち歩けるので重宝していますよ。

高校生のころラヴェルにはまりましたが、住んでいた田舎の楽譜店でなぜか一冊だけラヴェルの「ソナチネ」が置いてあって、手にはいらないものと思い込んでいた私は喜んで買ったのを覚えています。たしか1000円くらいでしたか。「珍しいのを買うね」と店に人に言われましたが、その後続々と「ガスパール」や「クープランの墓」などを入れてくれました。「ガスパール」は2800円もして高校生の小遣いには痛手でしたが・・・。フランス語の辞書を買って楽譜に書いてある指示の意味をいろいろと調べたりしたのも懐かしい思い出です。

デュランは校訂があまり良くないとの評判ですが、フランスものではやはりはずせないですね。メシアンの「まなざし」はいまでも10000円を超えているのではないでしょうか。

「ソナチネ」は1,000円くらいでしたか。何か私の記憶ではもう少し高かったかと思っていました。
メシアンは確かに今でも高いでしょうねえ。
「まなざし」は持っていたい気もするんですが、10,000円以上となるとさすがに……。

コメントを投稿