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ラローチャの死去

先月25日にスペインのピアニスト、アリシア・デ・ラローチャが亡くなったということを、今日になって初めて知った。享年86。ニュースにはなっていたと思うのだが、出張やら新学期の準備などでバタバタしていた時期だったので、見落としてしまっていたようだ。10日も経ってからなぜ気づいたかというと、これがまさに虫の知らせというべきもので、何となくラローチャの演奏動画を検索したのである。行き当たった動画(といっても実際は静止画だが)で演奏を聴いていたら、"Descansa en Paz" とか "Rest in peace" とかみんなが書き込んでいる。それでこの人がもうこの世にいないことを知ったのだった。

アルベニスの「イベリア」はピアノ音楽史上に燦然と輝く傑作中の傑作だが、その「イベリア」の素晴らしさをラローチャの演奏によって知ったという人は多いだろう。私もその一人である。ラローチャの弾く「イベリア」の全曲演奏のCDは、それこそ何度聴いたか分からない。いくら聴いても飽きない、素晴らしい演奏である。この曲集についてはアムラン盤も持っているが、ことアムランびいきの自分であっても、こればかりはラローチャに軍配を上げざるを得ない。「イベリア」以外にもグラナドス、ファリャ、モンポウなどスペインの作曲家たちの曲は、やっぱりラローチャで聴くのがベストの選択ではないかと思っている。

ラローチャの演奏は、実は一度だけ生で聴いたことがある。あれはもういつのことだったかも定かでないが、ラローチャが来日したときにピアノサークル同期のTちゃんことH君が「あのラローチャが来るんだから聴きに行こう」と誘ってくれたのである。彼は私が返事をする前にもう8,000円のチケットを買ってきてしまっていた。当時まだラローチャの素晴らしさをよく知らなかった私は、考える暇もなく8,000円のチケットを買うことになって正直ちょっと複雑な心境だったが、今にして思えばあのとき聴いておいて本当によかったと思う。こういうことは、一度機会を逸したら、二度とチャンスは訪れないのだ。

「イベリア」の掉尾を飾る「エリターニャ」をいつか弾いてみたい、という話を3年前に書いたが、結局あれから特に進んでいない。しかしラローチャ追悼の意味も込めてまた少し練習してみたくなった。もっとも、当面は依頼された曲をやらなければいけないから、それが終わって一息ついたらちょっと考えてみよう。

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コメント

私も大好きでした。音がきれいで。
CD屋さんに寄ったら、「追悼アリシア・デ・ラローチャ」というコーナーがあって、それで知りました。
私はモーツァルトやシューマン「謝肉祭」を彼女でよく聴きますが、やっぱり「イベリア」なんでしょうね。
もう二十年近く聴いてないですが、さがしてみます。

そうそう、ラローチャの謝肉祭もいいですよねえ。
ライブを聴いたとき、遠くから見る彼女の手が予想以上に小さかったことを覚えています。
あの大きさではとても広い音型など弾けないだろうと思っていると、
ときどき指と指の間がパカッとびっくりするくらい開いて、驚くほど手が広がるのでした。
いいピアニストでした。

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