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棋士のぼやき

昨年の夏から囲碁と将棋の専門チャンネルが見られるようになり、他に取り立てて見たい番組がないときにはよくチャンネルを合わせるようになった。私は囲碁はやらないのだが、それでも何となくつけておいて、「黒ここでコスミツケですね」「そうですね。これはノビますと……」「こちらをオサエて、キレばここをツグと」「あ、ここに一眼しかないですね」というやりとりを聞いているのは、それがよく分からなくてもそれなりに面白い。あまり気を取られたくはないが、しかし何となくテレビはつけておきたいということがしばしばあって、そういうときにも対局番組は騒がしくなくてうってつけである。

しばらく見ていて気づいたことだが、囲碁棋士は対局中やたらにぼやく。高名な棋士でぼやきが有名だという話は聞いたことがあったが、若い人でも「ひどいねもう、何をやってんのかねえ」とか「ああ、やっちゃったか」とか、結構頻繁に何か声が聞こえてくるのである。こんなにぼやいているものだとは知らなかった。もちろん最初から最後まで静かな人もいるが、将棋に比べてぼやきの頻度は相当高いのではないだろうか。将棋でも石田九段のぼやきは有名だが、逆に言えばそれくらいしか恒常的にぼやくような人はいないということだろう。もちろん局後の感想戦で自らの手を嘆くのは珍しくないが、対局中はだいたい静かにしているのではないかと思う。

私は普段一人でいるときは、結構独り言を口走ってしまっている。チェスを指しているときも、半ば無意識に頭の読みに合わせて「取れば、取って取って……」とか「d4突くと……」と声は出さずに唇だけときどき動かしているように思う。もし声を出したら、たとえそれがかすれるような無声音であっても文句が出る可能性はかなり高い。ましてや「ああ、何やってんだよ全く」などと大声でぼやいたらつまみ出されそうだ。チェスの世界では、音に関してはとにかく厳しいのである。囲碁棋士にぼやく人が多いのは単に慣習の違いなのか、それともゲームの特性と何か関係があるのか、それはよく分からない。

もう一つ番組を見ていて気づいたのは、囲碁番組に将棋のプロ棋士がゲストとしてよく出演するということである。この半年足らずで3人は登場しているのを見た。みんな本業の合間の楽しみに、一人のアマチュアとして囲碁を学びたいという立場で出てくる。しかしその逆、将棋番組の講座などに囲碁棋士は(少なくとも見ている限りでは)全く出てこない。これもゲームの特性と何か関係があるのか、それもよく分からない。

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