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2010年03月10日

How many solutions?

Sells.pngこの間紹介したレトロの問題について。黒のKが詰まされた場所を考えるので、白の駒が利いているマス目が正解の候補ということになる。しかし、ほとんどの場所は正解にはなり得ないことがすぐに分かる。2段目にいる白のPが利いているところにKがいるはずはないし、開き王手した形になっていない限り、2つの白の駒が利いている場所にKがいるはずもない。となると考えられるのは1段目に黒のKがいて、h8のRがメイトにしているという線だ。ところが、これも不可能なのである。BやNが開き王手した形になっていない以上、h8のRはどこかから移動してきてチェックをかけたことになるのだが、h7が塞がれているために縦方向に動けないのだ。唯一の可能性は、g7にいた白のPがh8にいた黒の駒を取ってRに成ったというものだが、盤面をよく数えてみると白のPは8個もあり、1つもなくなっていない。だからこれもあり得ないのである。

Sells-Solution.png一見、これで答えがないように思えるが、実はここまでの説明で一つ正しくない主張が含まれていたのに気づかれただろうか。「開き王手した形になっていない限り、2つの白の駒が利いている場所にKがいるはずもない」というのが誤りで、本当は一つだけそういうこと(すなわち、開き王手されたわけでもないのに、黒のKが白の2つの駒から取りをかけられるということ)が起きる可能性があるのである。それはアンパッサンだ。黒のKがd4にいて、これに白のQがf6からチェックをかける。黒はe7にいたPを2歩前進させて合駒する。これを白がd5のPでアンパッサンによって取る。この瞬間、d7からのRの利きも通って、ダブルチェックがかかることになるのである。これが、問題図を成立させるただ一つの可能性であった。駒が取られた位置と、取った駒がその後に存在する位置が違うというアンパッサン特有の性質を巧みに利用したトリックで、レトロの問題ではしばしば登場する。

FabelSteudel.pngではせっかくなので、"The Book of Extraordinary Chess Problems" からもう1問。K. FabelとT. Steudelによる1969年の作品である。この局面、黒のKはあと1手で詰む。問題は、「正解は何通りあるか?」である。例えば、1.Rd1#とRを回すのは正解の1つだ。さて、他にも1手で黒のKを仕留める手はあるだろうか?その手が指せるかどうかを、過去を推理することによって調べることになる。先ほどの問題もヒントになるだろう。