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How many solutions?

Sells.pngこの間紹介したレトロの問題について。黒のKが詰まされた場所を考えるので、白の駒が利いているマス目が正解の候補ということになる。しかし、ほとんどの場所は正解にはなり得ないことがすぐに分かる。2段目にいる白のPが利いているところにKがいるはずはないし、開き王手した形になっていない限り、2つの白の駒が利いている場所にKがいるはずもない。となると考えられるのは1段目に黒のKがいて、h8のRがメイトにしているという線だ。ところが、これも不可能なのである。BやNが開き王手した形になっていない以上、h8のRはどこかから移動してきてチェックをかけたことになるのだが、h7が塞がれているために縦方向に動けないのだ。唯一の可能性は、g7にいた白のPがh8にいた黒の駒を取ってRに成ったというものだが、盤面をよく数えてみると白のPは8個もあり、1つもなくなっていない。だからこれもあり得ないのである。

Sells-Solution.png一見、これで答えがないように思えるが、実はここまでの説明で一つ正しくない主張が含まれていたのに気づかれただろうか。「開き王手した形になっていない限り、2つの白の駒が利いている場所にKがいるはずもない」というのが誤りで、本当は一つだけそういうこと(すなわち、開き王手されたわけでもないのに、黒のKが白の2つの駒から取りをかけられるということ)が起きる可能性があるのである。それはアンパッサンだ。黒のKがd4にいて、これに白のQがf6からチェックをかける。黒はe7にいたPを2歩前進させて合駒する。これを白がd5のPでアンパッサンによって取る。この瞬間、d7からのRの利きも通って、ダブルチェックがかかることになるのである。これが、問題図を成立させるただ一つの可能性であった。駒が取られた位置と、取った駒がその後に存在する位置が違うというアンパッサン特有の性質を巧みに利用したトリックで、レトロの問題ではしばしば登場する。

FabelSteudel.pngではせっかくなので、"The Book of Extraordinary Chess Problems" からもう1問。K. FabelとT. Steudelによる1969年の作品である。この局面、黒のKはあと1手で詰む。問題は、「正解は何通りあるか?」である。例えば、1.Rd1#とRを回すのは正解の1つだ。さて、他にも1手で黒のKを仕留める手はあるだろうか?その手が指せるかどうかを、過去を推理することによって調べることになる。先ほどの問題もヒントになるだろう。

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コメント

前の問題は e4 にいる黒キングを d2-d3# でメイトできる(黒の直前の手が gxh5 で白マスのビショップを取ったと仮定)と考え、解いたつもりでいました。局面を再現しても( 7R/PppR3p/4PQp1/1K5B/4kB1N/4N2P/1PPP1PP1/8 b - - 0 1 )なぜ d2-d3# が成立しないのか分からなかったのですが、過去のコメントを見て納得。

そうそう、そのことを上の解答に書くのを忘れていました。
白のPが全員生きているという事実がここでも利いています。
脱出できないBというのは、レトロ問題のロジックとしてよく出てきますね。

白Bの取られた位置が確定していることは、作意には関係ないですよね? 飾り?

下図は(おそらく)作意が分かった後に、試しに手を戻すことに苦戦しました…。

上の図で、白の白マスBが取られた位置が確定するんですか?私には分からないんですが……。

白の白マスBがh筋で取られていないとなると、f1から動かさなくても良くなるのでexd3#が成立するのではないでしょうか?

>natsuoさん
白は白マスB以外の15枚が残っています。h列の黒Pは駒を取っています。白マスなので、gxh5と白マスBを取ったことが確定しています(のはず…)。

>亜さん
なるほどー。白マスBがf1で不動のまま取られることが可能だと、仰るとおりexd3#が成立するんですね。謎が解けました、ありがとうございます。

あっ、すみません、失礼しました……。当たり前ですね。
間抜けなことを書いてしまいました。

恐らく解けたと思います。(やはり特殊ルール絡みでしたね)
この位の難易度が、私にはちょうど良いみたいです。
これからも時々出題してください。

ありがとうございます。
しかし、けんちゃんが「この位の難易度がちょうど良い」とはご冗談でしょう。

黒駒は全部ポーンに討ち取られたんだな。
Bがh8ってことは、白の最終手を考える問題でもあるんですね。
あとは、えーと、ある可能性があれば、その必然性を証明できない時でも、それを正解に数えてもいいのかしら。

まあ書いてしまうと、キャスリングはできないことを証明し、
アンパッサンはできることを証明すればいいわけです。
この図はその両方が証明できるように創られています。

なんと、ええええっ!
問題を甘く見ておりました!
勉強し直して参ります。

> 黒駒は全部ポーンに討ち取られた
しかし、それって黒のaポーンはどうやって取られたの?
と考えてゆくわけか。やられたあ。

そうです、そういうことです。

 そんなすごさにも気付かずこの本手放してしまいました(汗。解答が不親切だったような。

ブログに書かれていたのでお持ちなのだろうと思っていたのですが、
手放されてしまったのですか。
確かに解答は比較的簡潔に書かれていますかね。

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