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キャスリングとアンパッサン

FabelSteudel.pngこの間の問題について。問われているのは1手詰がいくつあるかであるが、要するにこの配置からキャスリングとアンパッサンについて考えればよいことになる。もし白がここでキャスリングできるなら、1.0-0-0#も解になるし、もし黒が直前で...e7-e5と指したなら、1.dxe6#とする手も解になるからだ。

まずキャスリングについて。これは白のPの様子から分かる。白のPは8個とも生き残っており、この配置になるためには黒の駒を14個取ることが必要になる。つまり生き残っているKとP以外の14個は、すべて白のPに取られたわけだ。そうなると、問題になるのは最初a7にいた黒のPだ。白の駒は1つも取られていないので、a列のPは列を変えることなく真っ直ぐ進んだはずだが、Pの配置から白による駒取りはa列では起きていないはずだから、それが白のPに取られるためには、一度他の駒に昇格しなければならない。だからa7のPはa1で何かに成ったことになる。これはすなわち、現在a1にいる白のRが動いたことがあることを意味する。したがって、白はキャスリングできない。

もう一つはアンパッサンである。これはつまり、黒がたった今指した手が何だったかを明らかにすればよい。まずd3やc5には白の駒が複数利いていることから、最終手はKを動かす手ではなかったことはすぐに分かる。だから黒はPを動かしたのだが、白は何も駒を取られていないのだから、Pはe7から来たか、e6から来たかのどちらかだ。ここで大事なことは、黒がPを動かす前に黒のKにはチェックがかかっていたということである。チェックをかけているのはh8のBだが、問題はどうやってBがKにチェックをかけるに至ったかということだ。こういうときによくあるパターンは「g7にいたPがh8の駒を取ってBに昇格した」というものだが、今はPが8個盤上にあるからそれはあり得ない。残された可能性は開き王手である。盤面をよく見れば、開き王手が行われたとすれば、それはf6にいた白のRがc6に移動したという可能性しかない。これが指されたとすれば、当然黒のPはe6ではなくe7にいたことになる。ゆえに、問題図の局面はアンパッサンが可能で、1.dxe6#も答えとなる。

以上より、1手詰は1.Rd1#と1.dxe6#の2つ、というのが答えであった。

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コメント

キャスリングについて、
ふかーく考えた人が正解、
中途半端に考えた人が不正解、
なんも考えなかった人が正解、
という問題ですね。

> 白のPは8個とも生き残っており、この配置になるためには黒の駒を14個取ることが必要になる。

そうか、白のPは右へ右へと駒を取っていったのか。面白い仕掛けですね。

後半、アンパッサンできるかどうかは具体的な手順の推理が必要なのですね。種明かしの文章を楽しく読みました。

 テクニックとしてはキャスリング、アンパッサンともスマリアン本に出て来ますが、なかなか新鮮ですね。
 プロブレム本を訳す必要はないと思っていましたが、これだけ解答に味があるとそうでもないかもと思いました。

> maroさん

何も考えなかった人は1.Rd1#と1.0-0-0#の2通りになってしまうというわけですね。

> Yさん

Pの配置からかなりいろいろなことが読み取れますよね。ちょっと本末転倒な言い方になってしまいますが、
駒取りのときのみ斜めに進むというのは、レトロの世界を広げてくれる素晴らしいルールだと思います。

> 水野優さん

ただ、プロブレム本の解答が案外そっけないこともあるので、単なる訳ではこうした解答の
「味」がなかなか伝わらないことも往々にしてありそうな気がします。
上にまとめた解答も、訳ではなくて自分で書いたものですし。
スマリヤン本くらい面白く書いてあってくれればいいんでしょうけどねえ。

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