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2010年02月13日

踊る男女を折る

OrigamiCouple2.jpgOrigamiCouple1.jpgダンスするカップルを折ってみた。モデルの作者はMarc Kirschenbaum。紙はいつものようにアルミにカラペを貼り合わせたもので、ホワイトとチャコールの紙で挟んである。大きさは40cm×40cmで、多分これはこれまでで一番大きい。小さいと細かい折りが難しくなりすぎて収拾がつかなくなりそうだったためだ。だいぶ前から少しずつ折り進めていたのだが、sink、unsink、wrapなど、技術的に厳しい折り方が一通り登場し、予想通りかなり苦しまされることになった。途中までは白い部分は完全に隠れているのだが、あるところでくるっと紙をひっくり返して白いところを露出させると、女性の形が急に見えてくる。こんなふうに1枚の紙で複数の対象を同時に表現してしまう作品は、以前犬小屋付きの犬を折ったとき以来である。二人をどう組ませれば自然に踊っている感じになるか、社交ダンスのページに出ている写真などを見てあれこれ試行錯誤した。うまく折ればもっと優雅な感じにできたかもしれないが、作品の難しさを考えればまあこんなものだろうか。

OrigamiCouple3.jpg人間を折紙で折ったのは今回が初めてだが、本作が収録されている "Paper in Harmony" には、他にもいくつもの人型折紙が紹介されており、そのほとんどは楽器を演奏している姿である。ギタリストに始まって、ヴァイオリニスト、ベーシスト、そしてピアニスト、さらにはドラマーや指揮者まで折り方が出ている。つまりこの本に載っている作品を全部折って並べれば、楽団の演奏に合わせて男女が踊るシーンを折紙で表現できるというわけだ。ピアニストやドラマーも楽器を込めて1枚の紙で折るのだからかなり大変で、正直言って造形的にはやや強引かなと思うものもないではない。その中でこの踊る男女は、比較的きれいにできていると思う。少し雰囲気が出るかと思ってチェス盤の上にも置いてみたが、どうだろうか。

(折紙モデル:"Dancing Couple", Marc Kirschenbaum "Paper in Harmony"(Fit to Print Publishing, Inc.) 所収)

2010年01月30日

折紙用紙作成、ジョギング、打ち合わせ

今週はいろいろあって疲れたので今日は心ゆくまでゆっくり寝ているつもりだったが、普段より少し遅い程度の時間に目が覚めてしまった。身体はまだ眠りを欲しているような気がするのに、なぜか意識ははっきりしていくのである。自治体が鳴らす正午のチャイムが窓の外から聞こえてもまだベッドに潜り込み、いつまで寝ているのと親に起こされたりしていたのは、いつごろまでだっただろうか。やはりあのころとは身体が変質してきているようだ。

目が覚めた、といってもはりきって活動するわけでもなく、だらだらとテレビを見たりしているうちにお昼になってしまう。パスタをゆでて食べ、コーヒーを一杯飲んでから、新たに折紙を折るために紙の作成に着手。アルミとカラペの接着が一部うまくいかなくて悪戦苦闘したが、どうにか紙を切り出した。明日から少しずつ折っていくつもり。それから着替えて近くの公園でジョギング。先々週先週、今日と自分にしては珍しく3週も続いた。やっぱり継続していると少し身体が順応するようで、先週に比べて5キロのタイムがまた数十秒早くなった。ただ、このへんがそろそろ限界だろう。

風呂に入ってさっぱりしてから車で街の中心部に出かける。東急ハンズで買い物をした後、広島将棋センターに立ち寄って席主のTさんと詰将棋解答選手権について打ち合わせ。会場をどうするか決めないといけないのだが、予定している区の施設が予約できるのは1ヶ月前からということで、それまでは会場未定ということで行くしかないということになった。民間の施設なら今から押さえることは可能だろうが、おそらく使用料金が割に合わない。まあ1ヶ月前の時点で、広島市中心部にある公共施設がすべて埋まっていることはないだろう。

2010年01月18日

Closed wrap

ClosedWrap.jpg昨日のようなちょっと難しい折紙を折ろうとするとき、行き詰まるパターンは2つある。一つは技術的に非常に難しい折りを要求される場合、もう一つは折図で何が指示されているのかが正確に分からない場合である。前者については、昨日のワシを折っているときに出てきたclosed wrapという折りが代表的だ。これはフラップ状に飛び出した部分があるとき、その背後にあるへこんだ部分を引き出し、山折りと谷折りを入れ替えて逆にフラップを包み込むように折り直してまとめるというものである。これがきわめて難しいのは、へこんだ形になっている部分をこちらに引っ張り出す際にとっかかりが存在しないということだ。反対側から指を入れられればいいのだが、多くの場合はすでに幾重にも折りたたまれていてそんなことは不可能である。そこで指の腹で微妙にずらしながら、紙が少しでも浮き上がることに期待するしかない。こういう難しい指示が、小さな矢印とともにさらっと書いてあったりするから始末に悪い。同じようにとっかかりがなくて苦労する技法にclosed unsinkがあるが、これらが出てきたときは悪戦苦闘することを覚悟しなければならないのである。

しかし、実はclosed wrapやclosed unsinkは障害としてはまだましな方である。いくら難しくても、何を指示されているのかははっきりしているからだ。本当に困るのは、折図を何が指示しているのかが正確につかめないときである。多分こうだろう、と適当にやると、あとで矛盾が生じて必ずといっていいほど失敗してしまう。しかしそこに書いてあることしか頼りにできる情報は存在しないので、一見無造作に書かれた折線と次のステップの図をにらみ続けながらひたすら考えることになる。いったん間違った折目をはっきりつけてしまうともう折りぐせを消すことはできないので、やんわりとだましだまし折りながら正解を模索し続けるのだ。あれこれやっているうちに「これか!」という解が見つかり、先に進めるときはなかなか気分がいいものである。

2010年01月17日

ワシを折る

OrigamiEagle2.jpgOrigamiEagle1.jpgトラに引き続き、少しずつ折り進めていたワシがようやく完成した。モデルの作者はリアルな折紙の第一人者、Robert J. Lang。紙は35cm×35cmで、アルミの両面に茶色のカラペを貼り合わせたものである。実はこの紙、に別の作品を折ろうとしたときに予備として余分に作成しておいたもの。そのときに挑戦していた作品は途中で分からなくなって挫折してしまったが、幸い今回は何とか最後までたどり着いた。もっとも、翼の折り方で今ひとつ折図の指示がよくつかめなかったところもあり、あれこれいじくってみたものの、結局だいたいこんなところだろうと適当にまとめてしまった。すでに工程の終盤で、他の部分に影響を与えずにすんだのは幸運だったというほかない。

OrigamiEagle4.jpgOrigamiEagle3.jpgこの作品は飛びながら足を伸ばしているところを表現しているので、一番絵になるポーズをとらせるにはやはり空中に置く必要があるだろう。というわけで上から吊してみた。せっかくなら獲物もあった方が雰囲気があるかと思い、折ったネズミを出して地上に置いてみた(このネズミもLang氏の作品である)。縮尺がだいぶ違うのが難点だが、獲物を狙っている感じにはなったかもしれない。

やっぱりLang作品は難しい折りが多くて一筋縄ではいかないが、完成することができればそれだけの達成感が味わえる。レーザー工学の分野において第一線で活躍する研究者だったのに、40歳にして職を辞し、折紙作家になったという経歴を持つ人である。折紙への情熱は並ではない。

(折紙モデル:"Golden Eagle", Robert J. Lang "Origami Zoo"(St. Martins Press) 所収)

2010年01月02日

トラを折る

OrigamiTiger2.jpgOrigamiTiger1.jpg今年の干支はトラ。ということで、トラを折ってみた。といっても今日折ったのではなく、年末に折っておいたものである。モデルの作者は日本を代表する折紙作家の一人、西川誠司氏。紙は35cm×35cmで、フランスのサイトに注文して取り寄せた紙を使ってみた。丈夫だがそれなりに厚い紙で、折り重ねるときには結構な力が必要だ。もしかしたらウェット折りをして少し柔らかくした方がよかったのかもしれない。しかし特に大きな不満はなかったので、また使ってみようと思う。

トラというのは、折紙の題材としてはかなり難しいと思う。どの動物にも、その動物ならではの印象的な特徴がある。たてがみがあればライオンだし、長い耳があればウサギという具合だ。ところがトラの場合、それはあの身体の縞模様なのである。逆に言うと、あの縞模様がなければ、造形がある程度似ていてもトラには見えない。少なくとも、よほどうまく折らないと一目見てトラだという感じにはなかなかならないのである。

OrigamiTiger4.jpgOrigamiTiger3.jpg実は最初は、違う紙を使ってトラを折っていた。こちらは大きさが30cm×30cmで、黄色のカラペにアルミホイルを裏打ちしたものである。どうにか折り上げることはできたのだが、やっぱり縞模様がないとトラだとは思ってもらえないのではないかという心配があった。それに、裏側に同色のカラペを貼るのを怠ったせいで、背中や手足にアルミの銀色が見えてしまっているのもいただけない。あまり折紙に手を加えることはしたくないのだが、今回だけはちょっとだけ手を加えたヴァージョンも創ってみることにした。まず別の紙でもう一体トラを折り(これが冒頭のもの)、これは手をつけずにおく。そのうえで最初に折った方に、適当に縞模様を描き足してみた。一応実物のトラの写真を見ながらやったのだが、どうもあまりうまくいかなかったようだ。とはいえ、折り手がトラを折ろうとしていたのだということは、これで多分伝わるだろう。

そういえば、トラの写真を見ながら改めて気づいたこと。トラは黄色と黒の縞模様ということになっているが、現実にはそんなトラは一匹もいない。トラの色は黄色ではなく、あくまで褐色なのである。実際、ベンガルトラがマスコットのアメフトのチーム、シンシナティ・ベンガルズのチームカラーは褐色であり、欧米では現実に近い色がトラの色とされていると思われる。では日本ではなぜ黄色と黒ということになっているのか。憶測だが、関西の某球団が大きな影響を与えているのではないかと思っている。

(折紙モデル:「トラ」、西川誠司「西川誠司作品集」(おりがみはうす)所収)

2009年12月25日

高知に移動

夕方の高速バスで高知に移動する。余裕を持って家を出たつもりだったが、バスセンターまでの道がやたらに混雑しており、またしても重い荷物を持って必死で走る羽目になってしまった。時間に余裕をもって行動しているつもりなのに、いつもこういうことになってしまうのはなぜだろう。ともあれ、何とか間に合ってよかった。

OrigamiTruck2.jpgOrigamiTruck1.jpg9時過ぎに雨の高知駅に到着。Fさんが迎えに来てくれていた。車に乗せてもらい、15分くらいでF邸に着く。先月もお邪魔させてもらったが、今回は泊めていただくので粗相のないようにしないといけない。一応もみじ饅頭はお持ちしたのだが、それだけでも芸がないと思い、2歳4ヶ月になるY君に折紙のトラックを持って行った。これは小学生のころに私が好んでよく折っていたもの。当時は折紙を4枚も使うなんてすごい大作だというつもりでいたのだが、今折り直してみるとあまりにあっけなく折れてしまうので拍子抜けしてしまった。しかし、あのとき誰にも見せずにこっそり折り続けていたトラックがこんなところで役に立つとは、先のことは分からないものだ。

2009年12月12日

注文品の受け取り

4年前に買ってずっと使ってきたノートPCがだいぶくたびれてきたので、そろそろ新しいのに乗り換えようと思って注文をかけたのが先月の下旬。しばらく待たされたがそれが先週に届いた。あれをインストールして、これを設定して……と自分の環境をゼロから構築していくのは、かなり時間がかかるし面倒くさい。しばらくはそれまでのパソコンを使いつつ、少しずつ作業を進めていた。今日は少し時間ができたので、これまでのデータファイルの類も全部こちらに持ってくる。これで移行作業はほぼ終わり。今日から本格的にこちらを使うことになる。このエントリの更新も新マシンからである。

移行作業の最中に郵便が届いた。フランスのサイトに注文を出してあった折紙の本である。船便で送られてきたようで、こちらはもう一月近く待たされた。本と一緒に紙も注文してあったのだが、日本で売られている市販の折紙用紙とはまた違った質感で、複雑系の作品にも耐えられそうである。いずれ近いうちに使ってみよう。

夕方からは街中へ出かけ、東急ハンズでこれも注文してあったカラペを受け取る。この間来て聞いたときには、入荷までには1週間以上はかかるような口ぶりだったのに、わずかその2日後に入荷しましたと連絡してきたのである。多分ああいうのは、約束より遅れることを恐れてかなり余裕のある期日を答えることになっているのだろう。ともあれ、これでかなり素材はそろった。あと必要なのは、時間だけだ。もっとも、それこそが一番足りないものでもある。

2009年12月05日

久しぶりの休日

久しぶりに何の予定もない土日である。先週は演奏会とチェスで関西に出かけたし、その前は高知出張だった。もちろんそれらは楽しみなイベントであったし、実際充実した時間を過ごすことができたのだけれど、平日と同じかそれより早くに起きなければいけない日が何週間も続くというのは、夜更かしばかりしていて慢性的に睡眠不足の人間にはなかなかしんどいことなのである。やっぱり、ときどきはこうやってゆっくり寝ていられる日が挟まってくれないと身体が持たない。

というわけで寝坊できる幸せをたっぷり享受した後、11時近くになってようやく起き出す。お昼をすませ、午後は床屋に行って散髪。1ヶ月半に1回くらいのペースで髪を切っているので、次に行くのはもう年明けだろう。戻ってくると今度は部屋で折紙用の紙を作る。アルミホイルにスプレーのりでカラペを貼りつけた後、慎重に寸法を計測して紙を切り出す。スプレーのりの吹きつけ方がやや不均一でよく見るとわずかな色ムラができてしまったが、紙の裁断はまあまあ無難にいった。

夕方からは勤務先に出かける。うちの講座のサーバの移行作業をするためだ。新サーバはもう何ヶ月も前に届いていて、管理者として早く作業をしなければいけなかったのに、長い間先延ばしにしていたのである。平日にやって何かトラブルが起きるといけないので、こうやって誰も来ていないときに出てきたわけだ。あれこれいじること2時間あまり、幸い何事も起きず作業は無事終了した。ずっと気にしていた懸案事項が一つ解決してホッと一息。近所で夕飯をすませて8時過ぎに帰宅。

2009年12月02日

カラペの値上げ

難しい折紙を折ろうとするとき、市販の折紙用紙を使うとたいてい負担に耐えられなくて紙が破けてしまう。厚い紙を使えば破れにくくなるが、そうすると何度も折り重ねることが難しくなる。そこで手強い作品を折るときには、アルミホイルにカラペと呼ばれる薄い紙(包装用に使われる)を貼りつけて使うことにしている。こうするとそれほど厚くならず、それでいてコシが強くなるのだ。手間はかかるが、折りやすさを考えれば必要な作業である。

カラペは以前まとめ買いしたのだが、残りが少なくなってきていた。そこで昨日、前に買った街中の東急ハンズに電話して、ほしい色のカラペの在庫があるか聞いてみた。調べてもらった結果、返ってきたのは意外な答えだった。
「こちらの商品ですね、すでに製造中止になっておりまして……」
「えっ、本当ですか?メーカー側にももう在庫はないのでしょうか?」
「どうでしょう、今日はちょっともう遅いので……お調べして明日ご連絡いたしましょうか?」
「はい、お願いします」

ここまでが昨日の話。今日帰宅してすぐ、また電話がかかってきた。
「お尋ねの商品なんですが、リニューアルされたものが出ているようです」
「ああ、そうでしたか」
「前は30色あったんですが、今度のは10色くらいになりましてですね。あと、前のは636mm×939mmだったのが、545mm×787mmになってますね」
「値段は?」
「値段は前と同じです」
幸い、こちらがほしかった色は引き続き発売されていたので取り寄せをお願いしておいた。しかし色数を減らしたのは明らかにコスト削減だし、大きさを小さくしたのに値段は据え置きということは、要するに値上げである。ラッピング用品の業界にも不況の波は確実に押し寄せているのだなあと、思わぬところで今の社会情勢を実感してしまったのだった。

2009年10月22日

折紙の番組を見る

数日前にこのブログのコメント欄で教えていただいた折紙の番組「ORIGAMIマエストロ」を見たが、期待に違わぬ内容で非常に面白かった。知らせてもらわなかったら間違いなく見逃していたはずで、middle-mountainさんには感謝したいと思う。番組ではまずMichael G. LaFosse, Eric Joisel, Robert J. Langという折紙の名手たちが登場。LaFosseのペンギンやLangのカエルなど、これまで折ってきた作品も次々に出てきた。そして折紙中興の祖である故吉澤章氏にもふれ、抽象的図形を折る折紙の世界も紹介し、そこから話をつなげて折紙と数学の関わりについての話になる。最後にThomas HullEric Demaineといった折紙研究のトップを走る数学者まで登場したのにはちょっと驚いた。私がここ数年、折紙をやっていて目にしてきた名前がほとんど出てきた感じである(神谷哲史氏など現在活躍している日本人折紙作家は出てこなかったが、作品はいくつも映っていた)。製作したのはアメリカのテレビ局だが、折紙の世界がよくまとめられていて感心。日本だったら、適当に何にも知らないタレントを呼んできて「すごーい」と言わせたりしかねないところだ。こういうのをいい番組というのである。

番組中、ジョワゼル氏が「今の若手折紙作家は技術ばかりを追求していて、折紙の持つ芸術性が薄れてしまわないか危惧している」というような趣旨のことを述べていた。そういう本人の作品は超絶技巧を駆使していて1枚の紙からできているとは信じられないものばかりなのだが、つまりそういう恐ろしい技術もすべてはその作品の表現のための道具にすぎないことを自覚しつつ折るべきだ、ということなのだろう。何となく、ピアノやマジックの世界を思い出した。

2009年09月11日

福紙

Fukugami.jpgお昼を食べて自室に戻る途中、メールボックスをチェックすると本が届いていた。2週間ほど前にネットで注文しておいた論文集がようやく届いたのだ。早速部屋で段ボール箱を開けてパラパラとページを繰ってみる。なかなか面白そうな報告がたくさん出ているな、と思った次の瞬間、右から左に流れていたページがピタッと止まった。止めたのではなく、勝手に止まったのである。見るとページの右下部分が内側に織り込まれた状態で裁断されており、そこでページの厚さに少し乱れが生じていたのだった。折れ込んだページを開くと、現れたのはイカの頭のようなおなじみの形である。とはいえ、これを見たのは久しぶりかもしれない。

裁断ミスでこんなふうに飛び出した形になったページは、「福紙」とか「恵比須紙」などと呼ばれるようだ。後者は三角形の紙が恵比須様の頭巾を思わせるから来たという話もあるが、いずれにしろめでたいことになっているらしい。普通なら不良品をつかまされたと不愉快になるところだろうが、幸運扱いされるとあまり腹も立たないというのは不思議なものである。もっともこの本に関しては、それ以外にもちょっとした面白さがあった。これが折紙に関する最新の研究をまとめた論文集だったからである。折紙の論文集の紙が折れているとは、何ともうまくできているなと笑ってしまったのだった。

2009年08月23日

折紙は暗礁に

今日は一日中家にいた。午後は主にプロパラの原稿書きとピアノの練習。原稿の方はまた締切が迫ってきているのに、まだほとんど進んでいない。月末までに何とかしないといけないので、明日からは毎日、夜に少しずつ解説を書いていくしかないだろう。ピアノは「古風なメヌエット」。あるフレーズを意地になって何度も繰り返していたら、だんだん弾けるようになってきた。

日曜日の午後はたいてい折紙に充てるのだが、今日は今折りかけているものにほとんど手を着けないまま終わってしまった。原稿書きに時間を割く必要があったこと、ラヴェルの譜読みが面白くてなかなかやめられなかったことも大きいが、一番の理由は折りかけの作品が暗礁に乗り上げていることである。ちょっと前までは順調だったのだ。しかしあるステップまで来て、一部の形が折図の絵と微妙に違うことに気がついた。ごくたまに折図の方が間違っていることもあるので今回もそうだと信じて進めたが、ほんの小さな差異は消えないまま紙のあちこちに伝播し、だんだん折図通りに折るのが難しくなってきたのである。こうなると、やはりどこかで間違えたのではないかと疑心暗鬼にならざるを得ない。間違えたものを折り続けるのは時間の無駄だが、さりとて前に戻るのは複雑すぎてほとんど不可能だ。前にも後ろにも動けなくなってしまい、仕方なく棚上げにしているというのが現状である。折紙は相当な時間を費やしても、ときどきこれがあるから困る。もう少しいじってみるか、あきらめて別の紙で最初から折り直すか、あるいは気分を変えて全く別の作品を折るか、ちょっと悩むところである。

2009年08月02日

次の折紙を折り始める

先週の週末は朝から大変な目に遭ったが、この土日はゆっくりできた。やっぱりこういう日がときどき入ってくれないと疲れてしまう。

Creases.jpgまた折紙を折り始めた。すでに紙は先月のうちに切り出しておいてあったのだが、時間がなくてずっとそのままになっていたのである。今度もまたRobert J. Langの作品に挑戦してみることにした。折図を見ると全部で119ステップある。しかし途中、「35. 左側も23.~33.と同じように折る」とか、「50. 残りのカド3つも47.~49.と同じように折る」などというステップがあるから、実際には150ステップくらいの分量だろうか。こういう超複雑折紙の常なのだが、最初はひたすら折り目ばかりつける作業が続き、なかなか折りたたむ工程が始まらない。今日も紙の折り目をつけているだけで時間のほとんどを消化してしまった。この後の折りを形作る基本となる線を決める作業であり、ここをいい加減にやると間違いなく後で破綻するので、細心の注意をもって折らなければいけない。

ようやく折り目付けの工程が終わって本格的に折りが始まると、早速Langらしい沈め折りの連打が来た。沈め折りは難しくて一つやるだけでも手間がかかるが、それが何十回と繰り返されるのである。今日はその苦しい折りに数回耐えたところでタイムアップ。工程としては全体の4分の1くらいまで来ただろうか。まだまだ時間がかかりそうだ。

2009年06月28日

カエルを折る

OrigamiFrog2.jpgOrigamiFrog1.jpgカエルを折ってみた。今月上旬に紙を作ってから少しずつ折り進めてきて、何とか今月中に形にすることができた。モデルの作者は言わずとしれたRobert J. Langである。カエルといってもヒキガエルのようなでっぷりした感じはなく、だいぶ華奢なデザインだ。モデル名に "Tree Frog" とあるように、おそらく木に生息しているモリアオガエルのようなものをイメージしているのだろう。中わり折りを何度となく繰り返して極端に紙を細くしていき、指の一本一本まで表現するちょっと偏執狂的なリアリティへのこだわりは、さすがにLang作品である。

OrigamiFrog3.jpg今回も彼の作品特有の容赦ない指示が延々と続き、ずいぶん悪戦苦闘させられてしまった。特に最後の最後というところで足の折り方を間違え、やり直したためにだいぶ汚くなってしまったのは残念。序盤の終わり頃にある連続した沈め折りの箇所や、中盤にある紙を広げてまとめ直すステップでもだいぶ紙を傷めてしまったように思う。まだまだ修行が足りない。また今回は紙の大きさを27cm×27cmにしてやってみたが、足の指を1本ずつ折り出す作業が恐ろしく細かくなってしまい、最後はピンセットやペンの先で手術みたいなことをするはめになってしまった。本作については少なくとも1辺30cm以上の紙を使った方がよさそうだ。それから、アルミの片側にしかカラペを貼らなかったのも反省点。インサイドアウト(紙の裏側も造形に利用する作品)ではなかったので無精をしてしまったのだが、やはり裏側にも同じ色の紙を貼った方がよかったように思う。カラペは非常に薄いが、それでも1枚プラスされているだけでコシがだいぶ強くなるし、紙がめくれて足裏のアルミが覗くのも防ぐことができただろう。本作は紙にかかる負担が大きすぎ、あちこちに小さなキズを残してしまった。多分今からもう一度折り直せばもう少しきれいに折れるのではないかと思うが、さすがにその元気はない。

(折紙モデル:"Tree Frog", Robert J. Lang "Origami Design Secrets"(A K Peters Ltd.) 所収)

2009年06月13日

それぞれの課題

久しぶりに何の予定もない土曜日。本当は山登りに行くはずが延期になったためだが、昨日はだいぶ疲れていたからちょうどよかったかもしれない。お昼にパスタをゆで、食後にコーヒーで一服する。休みの日の昼下がりに飲むコーヒーはどうしてこうもおいしいのだろう。

午後は折紙とピアノに半分ずつあてた。折紙の方はこの間作成しておいた紙で折り始める。しかし序盤から頻出する沈め折りに大苦戦。Open SinkにSpread Sink、それにとりわけ難しいUnsink(沈め折りと反対に沈んでいる部分を裏返して引き出す)まで登場し、たちまち紙を激しく傷めてしまった。ようやく難所を切り抜けたところで中断したが、まだ中間地点にも達していない。さすがにLang作品は難しい。破綻する可能性も大いにあるが、何とか行けるところまで行こう。それにしても、紙に負担をかけずに沈め折りをどうやってこなせばいいのか、未だによく分からない。

ピアノの方も課題がある。現在、プロコフィエフの曲を譜読みしてみているのだが、曲の中で延々とアルペジオを弾き続けながらメロディーをかぶせるところがある。旋律を構成する音はアルペジオの中に埋め込まれているので、その音をテヌートでくっきりと響かせたいのだが、これがどうにも難しい。AshkenazyにしてもChiuにしても、CDを聴いてみるとアルペジオの音の群れはもやもやと流体のように混ざり合って音の海を形作っており、メロディーは水の上を走るアメンボのように浮き出て聞こえてくる。まるで違う楽器で奏でているかのようだ。しかしそれをいくら真似しようとしても、どうしてもアメンボは水中に落ちて見えなくなってしまうのである。もうしばらく練習が必要なようだ。

2009年06月07日

折紙用紙を作成する

PaperMaking2.jpgPaperMaking1.jpg久しぶりに今日はゆっくりできる時間がとれたので、折紙用の紙を作成する作業をしていた。負担のかかる折り方をしても紙が簡単に破れないように、カラペにアルミホイルを裏打ちしてこしを強くし、これを適当な大きさの正方形に切り出すのである。新聞紙を敷き詰めてそのうえに十分な大きさの板を置き、その上からまた新聞紙を敷いてセロテープで固定する。そのうえにアルミホイルをしわができないように真っ直ぐ広げていく。そしてスプレーのりをまんべんなく吹きかけ、乾かないうちに手早くカラペを貼り付けるのである。このカラペの貼り付け作業で空気が入らないようにするのがなかなか難しい。今日はのりをむらなく付着させようとかなりしつこくスプレーを吹き付けたためシンナー臭が部屋に充満し、あわててあちこちの窓を開けることになってしまった。のりがある程度乾いたところで裁断作業に移ったが、カッターの切れが悪くなっていたのか、刃に引きずられてカラペの一部が破れてしまうトラブルが発生。一生懸命つくってきて最後にこういうことがあるとがっくりきてしまう。気を取り直して2枚目の切り出しに臨み、こちらはまあまあ無難にできた。

さて、ようやくこれで紙はできたが、これからがまた大変。今折ろうと思っているのはまたLangの作品でかなり難しそうなのである。一応今月中の完成を目指して少しずつ折り進めようと思う。

2009年06月05日

折り鶴のついた名札

今日の午後は、先週行った線形代数学の中間試験をずっと採点していた。1年生全員が受けた試験なのでさすがに枚数が多い。自分が試験を受ける側にいたころは、答案を採点するという行為は先生なら当たり前にする仕事であり、呼吸するかのように造作もなくできることだとばかり思っていた。採点作業が「大変である」とは考えてみたこともなかったのだ。しかし、意味が通っているのか通っていないのかもはっきりしない文章をひたすら何百枚も解読するという作業は、実のところかなりの負担である。それが、講義であれだけちゃんと説明したのに、と嘆きながらとなればなおさらだ。

NameCard2.jpgNameCard1.jpg5時を過ぎ、6時を過ぎても一向に終わらない採点に嫌気がさし、小休止のつもりで部屋を出て階下の事務に向かった。メールボックスをチェックすると、自分の名前が書かれた名札が入っている。広島市に勤める人間は、今後勤務中は原則としてこれをつけるようにということになったらしい。地元の新聞にも紹介されていたが、特徴的なのは名札とともに小さい折紙が1枚添えられていることで、これで各自折り鶴を折って名札に貼り付けることになっているのである。早速折ってみた。普段複雑系折紙に手を出している身としてはもうちょっと凝ってみたい気もしたが、折り鶴を貼る趣旨を考えればそれはやめた方がいいだろう。しかし、毎日使っているうちに折り鶴があちこちに当たって変なふうに折れ曲がってしまわないかが、ちょっと心配ではある。

[2009/6/6 2:00 追記] 今になって気づいたが、折り鶴をカードに貼ってからカードホルダーに入れなければいけないのではないだろうか。そうに決まっている。何も考えずにホルダーの上から鶴を貼り付けてしまったが、これではすぐ鶴がダメージを受けるのは当たり前ではないか。全く相変わらず間が抜けている。仕方ない、週明けに直そう。

2009年05月24日

ペガサスをもう一度折る

OrigamiPegasusRefolded.jpgだいぶ前に折ったペガサスをもう一度折ってみた。造形は非常に好きなのだが、あのときはどうもうまく折れなかったのでいずれ折り直そうと思っていたのだ。それに、どうも最近忙しくてあまり時間をかけられないので、以前折ったことのある作品なら何とかなるだろうという思惑もあった。

しかし、甘かった。やはりこれは一筋縄ではいかない。紙は30cm×30cmの市販折紙用紙で、前回より大きいから折りやすいだろうと思っていたのだが、こんなに難しかったっけと驚くくらい苦労してしまった。首の裏側で紙が一部破けてしまうというアクシデントも発生し、結局完成度は前回並みかそれ以下。やはり本作はアルミを裏打ちした丈夫な紙を使うべきだろう。大きさも35cm四方以上あった方がよさそうだ。技術的にもちょっと折りが荒れてきているので、次回以降はもう少し慎重に折ろうと思う。

(折紙モデル:「ペガサス」、川畑文昭「空想おりがみ」(おりがみはうす)所収)

2009年03月14日

さえずる鳥を折る

OrigamiSongbird2.jpgOrigamiSongbird1.jpgRobert J. Langの折紙作品の中からまた一つ折ってみた。紙は30cm×30cmで、アルミの両面にカラペを裏打ちしてある。簡単そうに見えるかもしれないが、実はかなり難しい作品である。工程も一筋縄ではいかないが、何よりできあがりを鳥らしく見せるのが容易ではない。微妙に折り筋や角度がずれただけで、何だか急に得体の知れない生物みたいに見えてくるのだ。あちこちいじりまくったあげくこういうことになったが、うまくいったとは言えないかもしれない。紙の選択もどうだったか。メロン色のカラペを使ったらバックのアルミが透けて淡い色がさらに淡くなり、相当地味な発色になってしまった。これではせっかくのインサイド・アウトのデザインがあまり映えない。また、かなり難しいことを予想して30cmという大きめのサイズにしたところ、完成品もそれなりの図体になってしまい、かわいらしいという感じではなくなってしまった。かなり細かい作業を要求される嘴や足の爪などは紙が大きいことで折りやすくなったが、全体としてはやはりもう一段小さい紙で折るべきだったかと思う。

モデルはSongbird Iと名付けられており、もう一つSongbird IIという作品もある。こちらはIの丸みを帯びた造形から一転して直線的なデザインのようだ。また機会があれば挑戦してみよう。

(折紙モデル:"Songbird I", Robert J. Lang "Origami Design Secrets"(A K Peters Ltd.) 所収)

2009年02月08日

交差多面体を折る

OrigamiFiveTetrahedra2.jpgOrigamiFiveTetrahedra1.jpg折紙とはつまり紙を折ることでできる造形であるが、狭義の意味では「正方形の紙1枚を切ることなく折るだけで表現する」ことを指しており、これは「不切正方形一枚折り」と呼ばれる。今まで折ってきたものもすべてそうだ。その意味でいうと、今日折ったものは厳密には折紙ではないことになる。複数の紙を使っており、さらにそれぞれの紙にはさみを入れているからである。しかしこのようにいくつも同じパーツを作成して一つの大きなオブジェをまとめる作品は「ユニット折紙」と呼ばれ、一つのジャンルを形成している。今回折ったものは正四面体が5つ絡み合ってできており、とがったそれぞれの頂点の凸包がちょうど正十二面体になるようにできている。これは1995年にThomas Hullによって発表された交差多面体で、"Five Intersecting Tetrahedra" (FIT) と名前をつけられた。ユニット折紙にしたのはFrancis Ow。紙は15cm四方の市販折紙用紙10枚で、それぞれ3枚の短冊に切り分けて30枚の長方形にしている。はさみを使うのはここまでで、あとはそれぞれを折って組み合わせるだけである。組む際に糊やセロテープの類は全く使っていない。各ユニットは隣の支柱に挟み込まれて折り曲げられるため、互いにつなぎ止める力が働いて容易には外れないのである。こうして手で持ってみると何やらエッシャーの絵のようだ。

OrigamiFiveTetrahedra3.jpgこれまで折ってきたものとは異なり、これは折るステップ自体は至極簡単だ。短冊を折って細くし、お互いとつなぐためにフラップとポケットを作るだけ。1ユニット折るのに5分もかからない。問題なのはこれらを組み合わせる工程である。1つ目の四面体に2つ目、3つ目と絡み合わせていくにつれ、どこにどうユニットを通せばいいかがどんどん難しくなる。もちろんいい加減に絡ませればいいわけではなく、ルールに従って組み合わせなければいけない。多分これで合っていると思うのだが、ユニットを組み合わせる過程で微妙な角度のずれが出てしまい、一部のユニットは圧迫されて若干ひしゃげてしまった。もう少し丁寧に折ればもっときれいにできただろうが、ちょっと各ユニット作成の過程が単調すぎるので、もう一度折るまでにはしばらく時間をおきたいところだ。

著名な折紙作家であり物理学者でもあるRobert J. LangはこのFITを一般化し、多々面体 (Polypolyhedra) なる概念を定義した。これは複数の同型な多面体からなっていて、各多面体の面は交差しているがそれぞれの稜線は交差していないという多重多面体構造を持っているものである。彼は群論を用いてこれを分類し、54個の位相的に異なる多々面体が存在することを証明した。そのすべてがユニット折紙で実現できるそうで、実際LangはFITとは別の新しい多々面体の作例を発表している。

(折紙モデル:"Five Intersecting Tetrahedra", Thomas Hull and Francis Ow, http://kahuna.merrimack.edu/~thull/fit.html で折図入手可能)

2009年01月02日

ウシを折る

OrigamiCow2.jpgOrigamiCow1.jpg丑年ということで、牛を折ってみた。といっても、これは去年のうちに折っておいたものである。紙の大きさは25cm×25cmで、アルミの両面にカラペを貼ってある。モデルの作者はRomán Díaz。この作者の作品としては夏に折ったと少し前のコヨーテに続いて3作目だ。本作とコヨーテはいずれも一部で紙の裏が露出するデザインになっているため、アルミの両側に同じ色のカラペを貼り付けたものを用いている。コヨーテを折ったときに余分に作りためておいた紙を使っているので、あのときと色は同じである。裏側の色を逆に利用する、いわゆるインサイド・アウトのデザインは、あまりこの方は採用しないようだ。頭のあたりは鼻の感じといい曲がった角といい、それっぽくなっているような気がする。それに比して四肢はあまり手を加えておらず素朴だが、これはこれで小さな置物のようでいいかもしれない。

今年もできれば時間をつくって、複雑系折紙を折ってみたいと思う。

(折紙モデル:"Steer", Román Díaz "ORIGAMI para Intérpretes" (Atelier du Grésivaudan) 所収)

2008年12月07日

ペンギンを折る

OrigamiPenguin2.jpgOrigamiPenguin1.jpg今日はペンギンを折ってみた。紙は市販の折紙用紙で、大きさは24cm×24cm。ただし、計ってみたら完全な正方形ではなかったので、長い方の辺を0.5mmほど切り落として使用した。作者はMichael G. LaFosse。今まで折ってきたものと比べればかなりやさしい方で、1時間ちょっとでだいたい形になってしまったが、そのわりにはペンギンらしさをよく表現したデザインだと思う。この作品に適した紙で折ればもっと見栄えがするものになるだろう。

本作が収録された "Origami Art" は今年出版されたばかりの本だ。LaFosse氏の本としては "Advanced Origami" に続き2冊目だが、彼の本はいずれも作品紹介より折紙を巡る様々な事柄にページを割いていることに特徴がある。この本でも、彼が持つ折紙のためのスタジオ "Origamidō Studio" の歴史に始まって、折紙に適した紙の選び方、加工の仕方、作品のディスプレイの方法など、きれいな写真とともに詳しく解説されている。折紙本として他にあまり例を見ない面白い本であると思う。

(折紙モデル:"Penguin", Michael G. LaFosse "Origami Art" (Tuttle Publishing) 所収)

2008年11月09日

コヨーテを折る

OrigamiCoyote2.jpgOrigamiCoyote1.jpg昨日折り始めたコヨーテは案外スムーズに進み、2日で完成にこぎ着けた。顎のあたりの折り方が若干難しかったが、超複雑系折紙の世界においては、まあ素直な方だろう。作者はウルグアイの折紙作家、Román Díaz氏。紙の大きさは25cm×25cmで、アルミの両面に同じ色のカラペを接着してある。上顎と前足の一部は実は紙の裏側が露出してしまう設計になっているため、裏にも同じ色の紙を貼っておかないとおかしなことになってしまうのである。

OrigamiCoyote4.jpgOrigamiCoyote3.jpg以前折ったでも感じたが、この人の作品は単に対象の造形を再現するというだけではなく、特徴的な一瞬を写真のように切り取ってきたロマンティックなものが多い。本作にしても、ただ四つん這いのコヨーテにするのではなく、月夜に荒野の岩山で遠吠えしている瞬間を折紙にするというそのセンスが素晴らしいと思う。なお、Díaz氏本人のコメントによると、この作品はメキシコの画家、Rufino Tamayoの絵にインスパイアされたものということである。彼が見た絵がどんなものだったのか少し探してみたところ、それらしい絵にたどり着いた。おそらくこれに間違いないだろう。

(折紙モデル:"Coyote", Román Díaz "ORIGAMI para Intérpretes" (Atelier du Grésivaudan) 所収)

2008年10月05日

トンボを折る

OrigamiDragonfly2.jpgOrigamiDragonfly1.jpg少しずつ折り進めていたトンボがようやく完成した。紙は29cm×29cmで、アルミホイルの両面に赤とグレーのカラペを貼り付けてある。体長は11cm強というところ。赤が若干渋いのは、レッドではなくワインと呼ばれる色の紙を使ったためだ。モデルの作者は川畑文昭氏。トンボの折紙自体はかなりの数が発表されているのではないかと思うが、身体の縞模様をちゃんと折り込んであるものはそれほど多くないだろう。仕上げのところでトンボらしい複眼をうまく表現しようとずいぶんいじったのだが、思ったほどうまくいかなかった。器用な人がやればもうちょっとトンボらしくできるのではないかと思う。

OrigamiDragonfly4.jpgOrigamiDragonfly3.jpg川畑氏の作品は極端に難しい折りはそれほどないし折図も丁寧なので、根気さえあれば何とかなると思う。ただ、長い長い工程の間にほんの少しずつのズレが蓄積されていき、最後に顔の部分など細かいところをまとめようとするときにたまった矛盾が吹き出してきて辻褄合わせに結構苦労することがあるから、楽に折れる部分もあまり調子に乗らずに慎重に折っていった方がよい。川畑作品は以前にペガサスを折ったことがあるが、そのときにも同じようなことを感じた。

(折紙モデル:「オニヤンマ」、川畑文昭「折紙図鑑・昆虫I」(おりがみはうす)所収)

2008年09月20日

折紙の運搬

お昼を食べ終えて一服しているころ、各部屋の天井に設置されている煙探知器の検査をする人が来た。半年前は二人連れだったのだが、今日は一人。来ることは事前に分かっていたので部屋は片付けておいた。この間親が来てからまだあまり日が経っておらず、それほどエントロピーが増大していなかったのは幸運だった。

RecentOrigamiWorks.jpg玄関の下駄箱の上には、ここ1年くらいで折った折紙が無造作に並べてある。いつの間にか数が増えてきたが、やはり最近のものの方ができがよいように思う。現在折っているものも何とかそれなりの形にまとまりそうな気がする。まだ道半ばだが、来月の早いうちには折り上がるだろう。

しかしこうやって家に置いている分にはいいのだが、最近思案しているのはこれを外に持っていく場合にどうやって運搬するのがいいのかということだ。今はまだあまりそういう機会もないが、誰かに見せるために持ち出したいということだって今後あってもおかしくない。足先などごく一部分が数ミリずれるくらいなら修正も利きそうだが、作品によってはかなり微妙なバランスを保ってどうにか自立しているようなものもあるので、全体が圧力を受けるような環境に置くのはできれば避けたいところである。

ふと思い出したが、子供のころ、私は二宮康明氏のよく飛ぶ紙飛行機という本を買ってきては一生懸命紙飛行機を作っていた。この本のページは厚紙でできており、紙飛行機のパーツが描かれている。それを寸分の狂いもなくぴったり線の通りに切り抜き、空気が入らないようにセメダインで貼り付けていくのである。非常に集中力を要する作業だったが、うまく作れたら1分や2分滞空するという説明書きを見て一時期はかなり夢中になっていた。そのときもデリケートな機体をどうやって広場まで持っていくかが問題だったが、二宮氏の説明に従い、蓋のない大きな段ボール箱の上部に針金を渡し、そこに取り付けた洗濯ばさみに機体の頭の部分をぶら下げることで、変形させることなく運搬することができたのだった。

しかし紙飛行機と違って折紙は作品自体の大きさもばらばらだし、紙飛行機の機首のように分厚くて洗濯ばさみの圧力に耐えられるような箇所がいつもあるとは限らない。何より、そんな段ボール箱のようなものをいつも持って行けるはずもないから、全く非現実的な話だ。というわけで、何か手軽に持ち運びできる手段がないものか、未だ思案中である。

2008年08月31日

セミを折る

OrigamiCicada2.jpgOrigamiCicada1.jpgずいぶん時間がかかってしまったが、セミをようやく折り上げた。先月の馬ができてからすぐ取りかかったはずだから、1ヶ月半もかかったことになる。8月中に何とかできあがってよかった。

紙は27cm×27cmで、アルミの両面にカラペを貼っている。できあがりの体長はちょうど10cmくらいで、実際のセミと比べるとやや大きいか。実物大により近づけるためにはあと数cm小さい紙を使うべきだっただろうが、作業の細かさを考えるとあまり小さい紙は危険である。モデルの作者はいわずとしれたRobert J. Lang。コンプレックス系折紙の第一人者であり、昆虫ものは十八番である。今回は失敗しないよう注意して折り進めていたので、中盤あたりまではかなりきれいに折れていたのだが、そこから難所が連続して一気に紙を傷めてしまった。特に難しいのは羽の部分を折り返すステップで、あそこは市販の折紙用紙だったらよほどうまくやらないと破れてしまうような気がする。Lang作品で昆虫を折ったのはだいぶ前の蟻以来だが、あのころに比べると少しは折りの技術も進歩しただろうか。

OrigamiCicada4.jpgOrigamiCicada3.jpgこの作品には "Periodical Cicada" というタイトルがつけられており、デザインするにあたってイメージしているのは日本のセミではなく、アメリカで17年に一度大発生するセミである。別に13年に一度大発生する種もいるが、いずれも周期が素数なのは天敵生物の発生とかち合う確率が一番低いからだとか。セミの折紙は多くの作品が存在し、Lang氏自身のものにもいくつか違うヴァージョンがあるが、私見では本作の造形が一番自然でよくできているのではないかと思う。

ちょっと古典伝承折紙のセミと並べてみた。こちらは丁寧に折っても5分とかからない。長い時を経て、折紙はこれだけ変わってしまったわけだ。しかしどちらが優れているということではない。どちらも正方形の紙を折ってできるセミの一つの表現であり、それぞれのよさがあると思う。

(折紙モデル:「17年ゼミ」 "Periodical Cicada", Robert J. Lang 「折紙図鑑・昆虫II」 "Origami Insects II"(おりがみはうす)所収)

2008年08月21日

七合目

ここ数日、めっきり涼しくなった。曇り空のことが多く、晴れていてもお盆前のような容赦のない日射しを感じることはあまりない。さすがにまだ何度か揺り戻しがあるだろうが、少し気温が下がるだけでだいぶ過ごしやすくなるものだ。

UnfinishedOrigami3.jpgこちらに戻ってきてからまた折紙を再開したのだが、難所が連続してやってくるのでなかなか前に進めない。今月上旬に五合目あたりまで持ってきたので、このペースで行けばそろそろゴールが見えてくるかと思っていたが、甘かったようだ。特に突き出た2枚のフラップを裏返して裏面の白を外側に出す作業が厳しく、かなり紙を傷めてしまった。ずいぶん頑張ったのに、まだ全体の七合目くらいまでしか来ていない。あまり悠長に折っているとセミの季節が完全に終わってしまいそうだが、さりとて先を急ぐと破綻するのは目に見えている。何とか今月中にそれらしい姿にしたいところである。

2008年08月03日

途中経過

UnfinishedOrigami2.jpgUnfinishedOrigami1.jpg暑くて出かける気にもならないので、ピアノやらチェスやら折紙やらで時を過ごす。折紙はちょっと難しい作品を折り始めたが、ここまでのところは順調。しかし中盤の難所にさしかかってきたので、雑に折らないよう注意しないといけない。登山に例えるなら、左の写真は麓の歩きやすい砂利道が終わり、いよいよ険しい登山道に入ろうというあたりで、右は急峻をよじ登りつつあるというところか。当初外側に見えていた紙の裏の白い部分は、紙をいったん広げて反対側に折り直したために今は見えなくなっている。ここは最後に羽の部分を折り出す過程で再び表に出てくるはずだ。一方、中央の塊はあまり変化がないように見えるが、実は沈め折りを繰り返して角の部分を内側に折り込む作業をしている。これがなかなか手間がかかるのである。まだ楽な方だが、これから先はいよいよきつくなりそうだ。

今日までに折った分で五合目くらいには来たが、平日にはあまり折り進める時間がないことを考えると、完成するのはお盆の帰省の後になるだろう。

2008年07月19日

靴、スプレーのり、バッハ

夕方から市街地に車で出かけた。本日のお出かけの目的は3つ。

まず、靴の交換。実は先週、新しい靴を一足買ったのだが、店頭で試し履きしたときはいいと思ったのに、帰宅してから履いて少し歩いてみたら、どうもつま先が靴の先に当たって気になる。買った店に電話したところ、持ってきてくれれば大きなサイズのものとお取り替えいたしますと言われていたのである。どうも私は、子供のときから靴を買うのが苦手だった。親に連れられて靴屋に行き、その場で候補の靴を履いてみるのだが、「どう?」と聞かれたときにいつも困ったものである。はっきりきついとかゆるいとか思えるほどサイズ違いなら、そう言えばいいだけのことだ。ところがたいていは、「フィットしているのかと問われれば、そうなのかなという思いもある」という政治家の答弁のような感想しか出てこないのだった。本当にフィットしているのかどうかは、いざその靴を履いて学校に行ったりしたときに初めて分かるのだ。今回も2つのサイズを試し履きしたもののどちらがいいか今ひとつよく分からず、以前靴がゆるかった経験を思い出して小さい方にしたら間違っていたというわけである。まあ今回のようにあとから交換に応じてくれるのは、私のような人間にとっては大変ありがたい。無事0.5cm大きい靴を手に入れることができた。

次の目的は、スプレーのりを買うことだった。今日の午後は、複雑系折紙を折るために紙の作成を行っていた。次に折ろうと考えている作品はいわゆるインサイド・アウト(紙の裏側を意識的に表に出して色の違いを表現する)ものなので、アルミホイルの両面にカラペを接着する必要があるのだが、まず片側に貼り付けたところでスプレーのりが空になってしまったのである。帰宅後、買ってきた新しいのりをさっと吹きかけて反対側にも無事カラペを接着した。実はこうやって紙を作るという作業をやるようになるまで、こんなふうにのりを吹きつけるスプレーがあるということすら知らなかったのだが、何とも便利なものである。

最後の目的は、ピアノスタジオに行くこと。このところ電子ピアノばかり弾いていたので、少し生のピアノの感触を思い出そうと久しぶりに木定楽器店に行って30分ばかりさわってきた。最近弾いているバッハ=リストのフーガをずっとやっていたが、まだ最後の2、3ページはうまく弾けない。この夏の間に何とかしたいところだ。

2008年07月12日

馬を折る

DiazOrigamiHorse2.jpgDiazOrigamiHorse1.jpg今日は馬を折ってみた。馬の折紙はこれが初めてではなく、去年J. Aníbal Voyer氏の作品を折ったことがあるが、今回はウルグアイの折紙作家、Román Díaz氏によるものである。抒情あふれるロマンティックな造形に特徴があり、折ってみたいと思わせる魅力的な作品が多いが、工程が独特で折図を正確に解読するのはそれほど簡単ではない。実は今までも何作かトライして失敗しているのだが、今回はようやく最後までたどり着いた。紙はアルミホイルに極薄の白色カラペを接着したもので、大きさは32cm×32cm。

本作を折るにあたっては仕上げに一番気を遣った。Díaz作品らしい躍動感がこの作品の魅力であり、動いているさまをなるべく表現したい。特に悩んだのが足の折り方である。理想としては馬が疾走する一瞬を切り取ったと思わせる姿にしたいのだが、これがなかなか難しいのだ。4本の足のそれぞれについて、足の付け根と関節部分のどこをどれだけの角度で折り曲げるかでまるで印象が変わってきてしまう。さらに、できれば余計な支えなしに自立させたいという条件もある。折る箇所を変えつつ何度も試行錯誤したあげく、結局こんなポーズにしたが、果たしてこれで走っている瞬間と見えるかどうか。普段からものの姿を観察していないと、こういうときに苦労する。

Díaz氏のブログを見ると、折紙を心から楽しんでいるのがよく伝わってくる。いずれまた別の作品に挑戦してみたい。

(折紙モデル:"Caballo/Horse", Román Díaz "ORIGAMI para Intérpretes" (Atelier du Grésivaudan) 所収)

2008年06月14日

カタツムリを折る

OrigamiPetitGris2.jpgOrigamiPetitGris1.jpg今日はカタツムリを折ってみた。モデルはフランスの折紙作家、Lionel Albertino氏によるものである。一般にフランスの折紙作家の作品は、リアリティを追求するというよりもその生物の持つ特徴を強調したカリカチュア的表現がなされていることが多いような気がする。Albertino作品にも概してそうした傾向があるが、その中でこのカタツムリは本物っぽさも兼ね備えていて、なかなかの名作と言えるのではないかと思う。工程はやさしくはないが全く無理がなく、慎重に折っていけば何とかなるレベルだ。カタツムリの殻は細く折りたたんだ紙を90度ずつ曲げて折りながら重ねていくのだが、紙の元に戻ろうとする力をうまく利用しており、自然に造形が完成してしまうように設計されているのには感心した。

紙は29cm四方のものを使っている。できあがりは頭の先からしっぽまで9cmくらい。今回は初めて、アルミホイルの両面に紙を裏打ちしたものを使ってみた。この前の日曜日に作っておいたもので、片側に極薄和紙の雲龍紙、もう片側に白いカラペ紙を貼ってある。さすがにこうするとそれなりの紙の厚さになるため、殻の渦巻きを折り込む過程ではかなりの分厚さになってしまったが、かえってそれが殻のボリューム感を出すにはちょうどよかったかもしれない。

(折紙モデル:"Petit Gris", Lionel Albertino "Insectes ORIGAMI Collection Tome 1" (Atelier du Grésivaudan) 所収)

2008年06月08日

完全オフの日

しばらく予定のある土日が続いていたので、今日は完全オフの日と決め、買い物以外はずっと家に逼塞していた。といっても、何もしなかったわけではない。やらなければいけない案件がいろいろたまっていたのだ。

まず、チェスの棋譜や詰将棋の入力作業。自分の対局は一応チェスソフトに打ち込んだうえで悪手をチェックさせているのだが、先月のゴールデンオープンと今月1日のアンパサン例会の分はまだ未入力だった。記録用紙を見ながら手順を追っていくとまたゴールデンオープンでの大逆転負けの悪夢がよみがえってくるが、それでも1ヶ月も経ったからだいぶ傷も癒えてきた。こういうのはさっさと忘れるに限る。それにしても、こうも手が見えないものかと入力のたびにあきれてしまう。ごくごくやさしい「次の一手」問題のレベルができていない。また形勢判断も毎回むちゃくちゃだ。まだまだ初心者の域を抜け出すには時間がかかりそうである。詰将棋の方は、近代将棋誌と将棋世界誌に出る新作を入力して保存。毎月続けているのだが、近代将棋に載る作品を入力することが今後当分なくなるのは、改めて残念という他はない。

あとはピアノも少々。演奏会が先週終わり、さて次は何を弾こうと考える時期は、ある意味では一番楽しいかもしれない。今日のところは、このところやっているバッハ=リストを弾いていた。それから、折紙も次のプロジェクトがスタート。今日はとりあえず紙を作るところまでで、アルミホイルの片側に雲龍紙、もう片側にカラペを接着させた。また失敗する可能性も高いが、慎重に少しずつ折ろう。

趣味以外の作業としては、水回りの掃除もした。湿度の高い季節になり、シンクや風呂場は汚れがかなり目立つようになっていたが、ようやくましな状態になった。ただ台所の流しの下をのぞいたら、シンクの壁面についているオーバーフロー穴(水があふれ出るのを防止する穴)に接続されているホースがなぜか外れていて、汚い水がそのへんにたまっていたのには辟易。その穴から排水されるほどシンクに水をためることはまずしないとはいえ、そのまま気づかないでいたらひどい状況になるところだった。危ない危ない。

2008年05月11日

甲羅模様つきのカメを折る

OrigamiPondTurtle2.jpgOrigamiPondTurtle1.jpg今日はカメを折ってみた。といっても以前のものとは違い、甲羅の模様まで折り出す上位ヴァージョンである。紙は35cm四方の市販折紙用紙。当然一日でできるはずはなく、だいぶ前から少しずつ折り進めていて、ようやく今日完成したものだ。作者はもちろんRobert J. Langで、彼一流の折紙設計技術は本作でも遺憾なく発揮されている。メインパートともいえる甲羅模様の折り出しはそれらしくできたのだが、手足の指の細かい表現はどうもうまくいかなかった。紙の裏の白が見えてしまっているので、表裏同色の紙を使った方がよかったかもしれない。リアルなカメに近づける最終調整も、紙が硬くなってしまっていてほとんどできなかった。まあカメに見えればそれでよしとしよう。

OrigamiTurtleFamily2.jpgOrigamiTurtleFamily1.jpg先月折ったカメも出してきて並べてみた。今回のものははるかに複雑で、同じ大きさの紙で折れば折り上がりは小さくなったはずだが、だいぶ大きな紙を使ったせいで結果的には一回り大きいサイズになっている。こうして並べるとカメの親子のようだ。親ガメと子ガメがいると重ねてみたくなるのはなぜだろう?多分私だけではないはずだ。

(折紙モデル:"Western Pond Turtle", Robert J. Lang "Origami Design Secrets"(A K Peters Ltd.) 所収)

2008年04月26日

タランチュラを……折れず

OrigamiTarantulaFailed.jpg今朝は日が高くなるまでゆっくり寝ていた。お昼をすませてからはピアノを練習したりチェスを並べたりして過ごす。いつの間にか髪が伸びてきていたので床屋にも行ってきた。夕方からは市街地へ出て買い物。

先週折り始めたタランチュラ、延々と続いた沈め折りの森を抜けてようやく視界が開けたと思ったところで、突如壁にぶち当たってしまった。どう考えても折図の通りにならず、書いてあるように折れないのだ。うーん、おかしい……慎重に折っていたつもりだったが、沈め折りのどこかの工程で折り間違えたのだろうか。やっと8本の足を折り出してタランチュラの輪郭が見え始めた矢先だっただけに残念。今さら折りを戻すのは不可能なので、もし間違えたのならまた最初から折り直すしかないだろう。やはりLangの昆虫系作品は一筋縄ではいかない。もっとも、一度各ステップを経験したのは無駄ではなかったと思う。また時間を作って捲土重来を期すべし。

2008年04月19日

折紙&ブゾーニとヒナステラ

昼食をすませ、コーヒーを一杯飲んで落ち着いたところで、またつい折紙を始めてしまった。それもコンプレックス系折紙の王道である昆虫系である。正確には蜘蛛なので昆虫ではないのだが、要するに足が2本多いわけで、その分余計に厄介だともいえる。序盤早々unsinkという特殊な折り方をさせられる箇所があり、これに大苦戦。その後もひたすら難解な工程が続き、紙がかなり傷んでしまった。ずいぶん時間をかけたのに、まだ全体の半分も行っていない。この調子では途中で破綻する可能性も高いが、折り急ぐとなおさら失敗しやすくなるので長期戦で行こう。

夕方から市街地に出かける。無印良品の店に行ったのだが、買い物をすませてから上階にあるCD店にふらっと入り、何かめぼしいものはないかと物色。クラシックはありきたりのものしか置いていないのであまり食指が動かないことが多いのだが、幸いナクソスのCDが片隅にまとまっていた。普段それほど見かけないような隠れた名曲を、良心的な値段で提供してくれることで知られるレーベルである。何枚か取り上げて迷ったのち、ブゾーニのヴァイオリン・ソナタ集とヒナステラのピアノ協奏曲集の2枚を購入。どちらも演奏者は聞いたこともない人たちだったが、こういうのはまず曲が聴けることが何より大事である。今はブゾーニを聴きながらこれを書いているが、やはりよい買い物だったようだ。

2008年04月13日

カメを折る

OrigamiTurtle2.jpgOrigamiTurtle1.jpgカメを折ってみた。作者はコンプレックス系折紙の第一人者、Robert J. Lang。紙は24cm四方の市販折紙用紙を使っている。Lang作品としては比較的簡単な部類に入ると思うが、それでもカメらしい造形を作り出しているのはさすがだ。実はもう一つ、さらにリアルなヴァージョンのカメの折り方も同じ本に収録されている。こちらは甲羅の模様から足の指まですべて折り出すという凄まじいもので、写真で見ると本物と見まがうようなできばえだ。これもできれば近いうちに挑戦してみたい。

先月頭にロブスターを折ってからもいくつかの作品にトライしていたのだが、途中で折図と違ってきてしまったり折図の指示が理解できなかったりで、ずっと失敗続きだった。何時間もかけて紙くずしかできなかったときは、徒労感ばかりがたまってしまってどうもいけない。早く完成させようと少しでも急ぐと折りが雑になって破綻するので、時間を十分かけてゆっくり進むことがやはり大切なようだ。

(折紙モデル:"Turtle", Robert J. Lang "Origami Design Secrets"(A K Peters Ltd.) 所収)

2008年03月19日

幕末算法伝

Sampoden.jpg先ほどまで、「幕末算法伝」(小野寺公二著)を読んでいた。幕末の和算家が主人公というちょっと変わった小説である。あまり晴れ晴れとした結末ではなく、しかもそれが話の中途から何となく想像できるので、読み進めながらしんみりしてしまったが、本筋とは別にちょっと見ておきたいところがあった。実は先週書いた、折紙を使った証明問題が出てくる箇所があるのである。主人公が属する算法の流派、最上派の後輩が、最大派閥である関派の算師から算額試合を挑まれ、主人公に何かいい問題はありませんかと泣きついてくる。それに対して主人公が与えたのがかの問題であった。後輩はそれを相手に出題する前にまず自分で解いてきた。

 その日の授業が終わったあと、居残らせて答えを吟味した。比例を用いたもので、途中の運びも間違いはなかった。しかし、面倒で手間どりすぎる。もっと簡明な方法があるといって、金盛は自分の解いたものを見せた。
「いやあ、こういう解き方もあったんですか。解述の運びが軽快ですね。優雅といってもいい。これにくらべると私の解法は、どたばたして山出しのおさんどんですよ」
 日比野は机にかがみこんだまま、図の上を指でなぞっては解述を読み、動こうとしなかった。

後輩をかくも感心させた解述とは、次のようなものであった。

図ノ如ク仮線ヲ引ケバ ヨッテ生ズル二組ノ鉤股弦(注:直角三角形のこと)ハソレゾレ合同トナリ  ガソレゾレ等シク 且ツ(と) (ち)ガソレゾレ等シキ故 正方形ノ 円ヲハサム二辺ノ和ハ 鉤股弦ノ周囲 即チ斜辺ト半径ノ二倍ヲ加ヘタルモノニ等シ コレヨリ ノ二倍ハ半径ノ二倍ニ等シキヲ知ルベシ
即チ ハ半径ニ等シ

日本の幾何-何題解けますか?」によると、実在する和算家による解答はもう少し面倒なものであった。しかしこの問題がブルガリアの数学雑誌に掲載されたとき、ある高校生から和算家よりもうまい解答がよせられた。「幕末算法伝」に登場する解法は、この高校生の解答を小野寺氏が紹介したものだということである。後輩が最初に書いてきた「山出しのおさんどん」は、和算家による実在の解答を意図したものであろう。

この「幕末算法伝」、ヒロインとして登場する志ほという女性が非常に将棋が強いということになっており、主人公がまだ十代前半だったこの娘と指して負かされてしまうくだりが出てくる。ストーリーを脇で支える小道具に初等幾何やら折紙やら将棋やら、個人的に親しみのある題材が妙にたくさん登場する小説で、それもあってなかなか面白く読むことができた。

2008年03月13日

折紙と和算

スーパーコンプレックス系の折紙本を見ていると、何気ない作品の一つ一つが、実は細部に至るまで周到に気を配って設計されたものであることが分かる。"Origami Design Secrets" で折紙設計の背景として紹介されている幾何学などは、著者が物理学者であることも手伝って相当に高度なものだ。一般に折紙と幾何学の間には深い関係があり、紙を折ったり重ねたりすることで現れる図形や直線の幾何はorigamicsという名前までついている。

wasan.png紙を折って現れる幾何というと、ある問題を思い出す。これは元々は和算の問題で、明治26年に福島で掲額された算額がオリジナルである。問題は以下の通り:正方形の紙がある。左下の角が紙の右辺の上に来るように紙を折る。このとき、上部にはみ出した紙の左辺(図の太線部分)は、右上にできた三角形の内接円の半径に等しいことを証明せよ。

いたってシンプルだが、初めて見たときは、へえそうなのかと感心してしまった。「日本の幾何-何題解けますか?」(深川英俊、ダン・ペドー著)によれば、この問題はカナダやブルガリアの数学雑誌に課題として採用されたこともあるそうである。証明は、うまくやれば中学くらいまでの数学の知識でできる。お暇な方はどうぞ。

2008年03月02日

エビを折る

Lobster2.jpgLobster1.jpg今日はエビを折ってみた。作者はスペインの折紙作家、Manuel Sirgo Álvarez。昨夜から折り始めて、今日の空いた時間をすべて費やしてやっと完成した。沈め折りを17回もさせられる苦難に満ちた行程で、途中で折図と微妙に違っているように見えたところもあったが、最終的には何とか完成形までこぎ着けた。しかし、できてみるとただグロテスクな物体を作っただけという気もする。折図では長い触覚は真っ直ぐ前に延びていたのだが、伊勢エビっぽくするために後方に折り曲げてみた。まあ触覚がどちらを向いていようと、あまりおいしそうには見えないことだけは確かだ。

私見では、ÁlvarezはRobert J. Langと双璧をなす正統派コンプレックス系作家と言っていいのではないかと思っている。とにかく細部まで緻密に設計されており、リアルな造形を目指すことに妥協がない。それだけに折りは困難を極めるが、一方でいわゆる「ぐらい折り」が少ないので、忠実に折図をたどることができさえすれば(それが難しいのだが……)、できあがりがまるで違ったものになったりすることは案外少ないのではないかと思う。

PaperMaking.jpg難しいことは分かっていたので、今回は初めて市販の折紙用紙ではなく、自分で紙を作るところから始めた。何を折るかにもよるが、一般に複雑系折紙は何重にも折り込むので、紙は十分薄い必要がある。そこでよく使われるのが、包装紙の一種で通称カラペと呼ばれる薄葉紙だ。しかしカラペだけでは腰が弱いので、さらにアルミホイルを裏打ちする方法がしばしばとられる。今回はこれに挑戦してみたのだ。

やってみると、カラペとホイルを均一にぴたっと貼り付けるのが非常に難しい。スプレーのりをアルミホイルに吹きつけてからそうっとカラペを置くのだが、よほど慎重にやらないとスジ状に空気が入ってしまうのだ。さらにそのステップを何とかクリアしても、次にこれを正確な正方形に切り抜くという作業が待っている。1ミリでもずれたら使えないので、かなり集中しなければならない。ちょっと細部にほつれができてしまったが、どうにか40cm四方の紙を切り出したのだった(この作業は昨晩のうちにやっておいた)。これは何度か経験を積まないとうまくならないだろう。

(折紙モデル:"Langosta común", Manuel Sirgo Álvarez "Papiroinsectos y Otros Origamis Exóticos"(Salvatella)、
[英訳版]"Lobster", Manuel Sirgo Álvarez "Origami Bugs and Beasts"(Dover Publications) 所収)

2008年02月14日

ヴァレンタインを折る

OrigamiValentine2.jpgOrigamiValentine1.jpg「ヴァレンタインを折る」とは妙だが、要するに矢の突き刺さったハートである。本当はこの間の連休中に折ってあったのだが、やはり今日出すのが適切であろうと待っていた。紙は24cm×24cmの市販折紙用紙。前回に引き続きPeter Engel氏の作品で、見た目よりはずっと難しい。特に困難なステップがあるというより、全体を通して少しずつ体力を奪われていく感じである。写真では矢が曲がっているように見えるが、これは最後に矢を90度ねじれという指示があったためで、もっと適切な紙を使えばもうちょっときれいに見えるのではないかと思う。

なお、Robert J. Lang氏にもヴァレンタインと称する作品がある。これもハートマークに矢が刺さった構図だが、Engelハートが前後に矢を通しているのに対し、Langハートは「蜘蛛巣城」の三船敏郎よろしく左から右に矢が貫通している。動物や昆虫といった具体的な事物に限らず、こうした抽象的な対象を折紙化する場合にも、作者のセンスの違いが現れるのは面白い。

(折紙モデル:"Valentine", Peter Engel "Origami from Angelfish to Zen"(Dover Publications) 所収)

2008年02月02日

カンガルーを折る

OrigamiKangaroo2.jpgOrigamiKangaroo1.jpg今日は折紙でカンガルーを折ってみた。紙は24cm四方の市販折紙用紙。お腹の袋に子供が入っているのがポイントである。序盤にいきなり難所があり(折図にも "This is the most difficult step in the model." と書いてあった)、そこを何とかクリアしてからもやや面倒な工程が続いたが、幸い破綻することなく最後までたどり着くことができた。もっとも、足の部分に紙の裏の白が見えてしまったのは反省点。紙を何重にも折り重ねるのであちこちが塊のようになり、途中で軌道修正したくてもどうしようもない。インサイドアウトの作品(紙の裏側を意識的に使う作品)でない場合は、面倒でもやはり表裏が同色の紙を用意すべきなのだろう。

Peter Engel氏の作品は今回初めて折ったが、見た目の印象よりずっと難しい作品が多いようだ。折るときの苦労があまり報われないとも言えるが、他にも面白そうな作品があるので、いずれまたトライしてみよう。

(折紙モデル:"Kangaroo", Peter Engel "Origami from Angelfish to Zen"(Dover Publications) 所収)

2008年01月27日

芸を見せる

数日前に入手した複雑系折紙の本で非常に魅力的な作品が出ていたので、昨日から今日にかけてそれにトライしていたのだが、中間地点あたりまで来たところでどうしても折図と合わなくなってしまい、どこを間違えたのだろうといじくり回していたら紙が破れてしまった。何時間もかけたのに水泡に帰するとがっくり来てしまう。まあこういう経験も必要なのだろう。

2008年01月20日

犬小屋に入った犬を折る

今日は朝から晩まで雪、雪、雪。降りがさほど激しくないので、一日中降っているわりには積もり方はそれほどでもないが、さすがに窓から見える景色はすっかり白くなった。明日まで降り続くという予報らしいから、スタッドレスタイヤに替えていない車で出かけるのは控えた方がいいかもしれない。そういえば、今日は広島市街地から宮島口あたりにかけてお昼過ぎから駅伝大会が行われていたが、中継映像ではずっと雨ばかり降っていた。うちは広島の中心部から北西に5キロほど行ったところなのだが、やはり標高が若干高いだけに、天気はずいぶん違うようである。

DoginaHouse2.jpgDoginaHouse1.jpgこういう日は家でおとなしくしているに限るというわけで、床屋と買い物に出た他は引きこもっていた。時間があるのでまたちょっと折紙を折ってみる。今日挑戦したのはStephen Weiss氏による「犬小屋に入った犬」。犬と犬小屋をそれぞれ折るなら大したことはないが、これを1枚の折紙で表現しようという発想が面白い。最初はそれほど難しくないだろうと15cm四方の紙で折り始めたが、全然形にならずに紙くずを作成してしまったので、反省して24cm×24cmで折り直した。Weiss作品は、例えばRobert J. Langの作品と比べるとリアリティは少し落ちるように思うが、反面デザインが個性的で独創性を感じる。折り方もLang作品とは全く異なっており、「作風」の違いというものを強く意識した。

(折紙モデル:"Dog in a Doghouse", Stephen Weiss "Origami Zoo"(St. Martins Press) 所収)

2008年01月06日

ネズミを折る

OrigamiMouse2.jpgOrigamiMouse1.jpg子年ということで、ネズミを折ってみた。といっても、実はこれを折ったのは今日ではない。昨年末にすでに折ってあって、元日の更新でこれを載せるという魂胆だったのである。思わぬ体調不良でちょっと予定が狂ってしまった。このネズミはRobert J. Langによるもの。少し昔の作品だからか、終盤になって1カ所厳しい沈め折りがある他は比較的おとなしい工程だった。最近のLang作品なら、ひげや足の指を全部折り出したりしそうなところだ。

一発芸的余興のつもりだった折紙のエントリーも何だか数が増えてきてしまったので、これを機に折紙のカテゴリーを新たに作成した。また、これまでも折紙の作者の名前は本文中に記述するようにしていたが、よりはっきりさせるべく、エントリーの末尾に改めて出典を明記することにした。こういう情報をちゃんと載せておかないのは、作者名なしに詰将棋を引用するようなものである。それに同じ作品を折ろうとする人にとっても、出典情報は役に立つだろう。

(折紙モデル:"Mouse", Robert J. Lang "Origami Zoo"(St. Martins Press) 所収)

2007年12月08日

ペガサスを折る

今日は午後から買い物にでも出かけようかと思っていたのだが、うちのすぐそばにあるスタジアムで京都サンガとサンフレッチェ広島のJ1・J2入れ替え戦が行われることになっていたため、予定を変更して家に逼塞していることにする。試合の前後に一帯が大渋滞になるのは間違いないからだ。さて、それでは何をしよう。そういえば京都在住のHさんが昨日プロパラが届いたと書かれていたなと思い出し、もううちにも来ているはずと郵便ポストをのぞきに行く。しかし、案に相違して入っていたのはチラシだけだった。京都はいわばプロパラの「地元」とはいえ、配達のこの時間差。サッカーの方もスコアレスドローでJ2降格が決まってしまったようだし、何か今日は京都に負けてばっかりという気分である(もっとも、プロパラは夕方に届いたらしく、先ほどもう一度郵便受けをチェックしたら入っていた)。

OrigamiPegasus2.jpgOrigamiPegasus1.jpg結局、午後はまた複雑系折紙を折っていた。今回やってみたのは、川畑文昭氏作のペガサス。ペガサスという題材は折り出す必要のある角が8つ(足、翼、頭、尾)で折紙に向いているらしく、いろいろな折紙作家が発表しているが、一つとして簡単なものはない。これもつらかった。24cm四方の紙を使ったのだが、以前折ったよりさらに一段小さくなってしまった。写真では大きく見えるかもしれないが、頭の先から尾っぽまでの全長は7.5cmくらいである。最後の工程などもう息も絶え絶えという感じで、ここにたどり着くだけで精一杯だったので、造形的にはいろいろ問題がある。本当の作品は、もっとずっと格好良いのだ。まあいずれ、もう少し大きい紙で再挑戦することにしよう。

(折紙モデル:「ペガサス」、川畑文昭「空想おりがみ」(おりがみはうす)所収)

2007年12月02日

チェスの駒を折る

一昨日から昨日にかけては友達の訪問にルータが壊れるトラブルが重なって大変だったが、今日はようやくゆっくりできた。外の天気もよかったので、午後は久しぶりにジョギング。前回は夕方になってから走ってひどく寒い思いをしたので、今日は日の高いうちに出かける。5キロを約30分、木々の紅葉を見ながらなかなか気持ちよく走れた。足の疲れ具合も前ほどではなかったように思う。

いったん家に戻り、風呂に入ってさっぱりしてから床屋へ。スーパーで野菜を買って帰り、ブロッコリーとベーコンのクリーム煮をつくる。ベーコン、じゃがいも、にんじんをバターで炒め、小麦粉を振り入れてからブイヨンスープでのばして煮込む。しばらくしてからブロッコリーを投入してさらに煮込み、最後に牛乳を注ぎ入れて塩こしょうで完成。まあこれくらい簡単でないと自分にはできない。煮込み方が足りなかったか、にんじんが若干固かったのが次回以降への反省点だ。

OrigamiChess.jpgジョギングに行く前、折紙でチェスの駒を折っていた。オーストラリアの折紙作家、Joseph Wu氏の作品で、先月折っていたものに比べればだいぶやさしい。いつもいつもスーパー・コンプレックス系の折紙では息切れしてしまうから、たまにはこういうのもいいだろう。ただ、できてみるといろいろ不満もある。まず、実際の駒の比率と比べるとRがかなり大きい。また、元々リアルさを深く追求した作品ではないとはいえ、KとQ、BとPもやや見分けがつきにくいように思う。

32個全部折るのは大変なので、それぞれ白と黒を1個ずつ折ったところで終わりにした。まあ全部折ったところで、実際の対局に使えるかどうかは微妙だ。少なくとも、ブリッツ(早指し)をやるのはやめておいた方がいいだろう。駒がつぶれてしまうのは間違いない。

(折紙モデル:"Birdbase Chess Set", Joseph Wu, http://www.origami.as/で折図入手可能)

2007年11月12日

折紙の世界

最近、身体は睡眠を要求しているのになぜか眠りが浅く、そのツケで昼間にぼうっとしてしまう日が多くて困っていたのだが、昨夜はジョギングのおかげでいい具合に疲れており、久しぶりにぐっすり眠れたようだ。それはよかったが、起きてみたらもものあたりが強烈な筋肉痛。特に痛いのが階段を下りるときで、お昼を食べに食堂に行くときは一苦労だった。あれくらい走っただけでこの体たらくである。もっとも、翌日に痛みが出るだけまだましかもしれない。

今月に入ってから急に折紙を折ったりしているが、折図を見ながら折っていく経験が人より多分若干多い(と自分では思っている)だけで、大した技術があるわけではない。それで難しいのに手を出すのだから、当然ながら苦戦の連続だ。何時間もかけて結局何だかよく分からない紙くずを製作することもある。そういえば高校生のころは、バイエルに毛が生えた程度しか習っていないのにショパンやリストを譜読みしようとばかりしていたが、まあやっていることはあのときから何も変わっていないわけだ。

折紙というと世の中のほとんどの人は、千羽鶴にやっこさん、紙風船くらいは幼稚園のときに折ったがそれ以上は覚えていないし興味もない、というところではないかと思う。詰将棋で、普通の人が3手詰や5手詰、あるいは新聞にときどき出ているやさしい手筋ものしか見たことがないのと似たようなものである。その例えで行くと、私が今折っているのは詰パラに出ている20手台くらいのちょっと難しい中編……というくらいだろうか。正しい筋を読み切れず、投げ出してしまうところまでぴったりだ。

詰将棋界に「将棋図巧」や「ミクロコスモス」があるように、折紙界もトップレベルは想像を絶する世界が広がっている。例えば、日本を代表する折紙作家、神谷哲史氏の作品たちを見てほしい。あまりの凄まじさに度肝を抜かれること請け合いである。「将棋図巧」は詰将棋をある程度知らないと素晴らしさを認識できないが、これは誰が見てもすごさが分かる。その意味では折紙界がうらやましい。

2007年11月11日

蟻を折る&ジョギング再開

OrigamiAnt.jpg今日はRobert J. Langという折紙作家の昆虫シリーズから蟻を折ってみた。この間の馬はスペインの折紙作家Aníbal Voyerの手によるもので、当初はVoyer氏の別の作品に挑戦していたのだが、途中どうしても分からないステップがあって中断してしまっていたのだ。仕方ないのでそちらは棚上げにして、今日は代わりにこれをやってみたのだが、いやはや、先日の馬に負けず劣らず難しかった。Lang氏の折図は非常に丁寧で分かりやすく、どう折ればいいかで迷うことは少ない。しかし沈め折りと呼ばれる折り方を多用するうえ、紙が分厚く重なって塊のようになるので、うまくコントロールするのは大変だ。蟻だけに大きくなりすぎるのもとどうかと思い、今回はあえて普通の15cm四方の紙を使ったが、そのせいで胴体や足のまとめはなおいっそう難しくなったように思う。Lang氏はその後、よりリアルさを増した蟻の改良版を発表しているようなので、余裕があればそのうちそれもやってみよう。

だいぶ気温も下がってきたので、今日から久しぶりにジョギングを再開した。春先には7キロ走っていたはずなのだが、今日は走り出したらすぐつらくなってきてしまい、やむなく4キロで断念。ちょっと走っていないとたちまちこれである。これからときどき走れば少しずつバテるまでの距離は増えていくだろうが、それが7キロくらいになったときにまた春を迎えるのだろう。

(折紙モデル:"Ant", Robert J. Lang "Origami Insects and Their Kin" (Dover Publications) 所収)

2007年11月04日

馬を折る

紅葉でも見に行こうかともちょっと思っていたのだが、結局家でゆっくりしていることにした。山間の三段峡や帝釈峡はすでに見頃を迎えているとはいえ、全体的にやはり今年の色づきは遅い。来週の土日に出かける気分になったら考えるとしよう。

OrigamiHorse.jpg今日は折り紙で馬を折ってみた。実はこれ、前にも一度挑戦したことがあるのだが、普通に売られている15cm四方の紙を使ったらものすごく小さくなってしまい、足や耳など細かい部分がもはや折れなくなってしまったのだ。それで昨日は東急ハンズに行って少し大きな紙を買ってきたのだった。今度は一辺が24cmであるから何とか折りきったが、それでもできあがりはこのサイズ、手乗り馬である。蹄や耳のあたりはやはり小さくなってしまい、折り方が下手くそなせいもあってかなり汚くなってしまった。予定ではもっと足がすらっと伸びて格好良くなるはずだったのだが、できてみるとちょっと短足胴長である。馬に見えるだろうか?まあ見えたとしても、少なくともあまり速くは走れそうにない。

まともに折るならさらに大きい、40cm四方くらいの紙の方がいいかもしれない。それに、これくらい難度の高い折り紙の場合は市販の紙を使うというのがそもそも間違いで、折るのに適した和紙を取り寄せる必要があるのだと思う。

OrigamiHorse3.jpgOrigamiHorse2.jpgまあこれは、玄関にでも飾っておくことにしよう。

[2007/11/5 追記] コメント欄で別角度からも見たいとリクエストしていただいたので、写真を追加。ただこうして見ると粗さが目立つ。特に右後ろ足は折り返す位置が悪くて、短足ぶりを強調してしまっているようだ。次回以降の反省点である。

(折紙モデル:"Horse", J. Aníbal Voyer, http://www.origami.com/ で折図入手可能)

2007年10月18日

折り紙と「ブレードランナー」

BoxCrane.jpg子供のころ、折り紙が好きでよく一人で折っていた。小学校3年か4年のころだったか、担任の先生が「斎藤君は折り紙が得意だからみんなで教わろう」と場をつくってくれて、前に出て折り方を偉そうに説明してみせたなんてこともあった。大した芸もないのに人前で披露する厚顔無恥なところは、すでにそのころにして健在だったわけである。そのときは背中が箱になっているちょっと変な鶴を折ったのだが、なぜそれを選んだのかはよく覚えていない。しかしそれで折り紙友だちができるわけでもなく、いつも暇なときに一人黙々と折っていたように思う。今でもときどき思い出すように折ることがあるが、技術的には相変わらず未熟である。

折り紙というと、「ブレードランナー」という映画を思い出す。フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を映画化したもので、今でもカルト的な人気を誇る作品である。この中に出てくるガフという男が、無言でそのへんにある小さな紙を使って何かを折るシーンが3回出てくる。折り紙の類が登場する映画は、今思いつく限り「ブレードランナー」だけだ。しかもガフが作るものはそれぞれのシーンにおける主人公の心情を反映しており、特に最後に出てくる折り紙は物語全体に関わる重要な意味を持っている。

「ブレードランナー」は諸々の事情の結果、リサーチ試写版、初期劇場公開版、完全版、最終版(ディレクターズ・カット)といくつもヴァージョンがあり、それぞれで少しずつ映像が差し替えられている。どの版ではどこが違うか、またなぜ違うのかがブレードランナー好きのマニア心をくすぐるようだが、今年、最初の公開から25年目にして何と「ファイナル・カット」という5つ目のヴァージョンが出るのだそうだ。オープニング映像を見るとギュスターブ・ドレと思われる絵が使われたりしていて、これまでのヴァージョンとはかなり違っているように見える。さすがに今回で最後だろうが、どこがどう変わったか、また見てみたい気がしてしまうのだった。