Win?

 

 

Leonid Kubbel's Endgame Study No.50

Shakhmaty v SSSR, 1937


本作は白勝ちとして発表されたが、のちにドローになる順があることが指摘された。いわば「不詰」作品である。以下では作意手順をメインラインとして述べる。

1. Kb6!

初手から難しい。白はc列のPを昇格させようとし、それを黒がKとBで止めようとするというのが基本的な構図。白はまずKをどこかに動かす必要があるのだが、 1. Kc6? では 1... Kf7 2. c5 Bb4 3. Kb6 Ke7 4. c6 Kd8 5. Kb7 Bd6 となって黒のKの応援が間に合ってしまう。まずb6に動くことにより、自軍のPの進路を開けつつ、敵のPにプレッシャーをかけて相手のBの動きを牽制することができるのである。

1... Kf7

黒はKを一刻も早く現場に近づける。

2. c5 Ke7

ここで 2... Bf2 も有力そうだが、 3. Kxa5 Bxc5 とPを取り合った後で 4. Kb5 Bg1 5. a5 となってみると、黒はもはや白のPの昇格を防げない。

3. Kc7!

ここで相手のKを侵入させないのが大事な一手。一見、自分のPの進路を塞いでよくないようだが、 3. Kb7? では 3... Kd8 4. c6 Bg3 でPの進軍を止められてしまう。

3... Bg3+ 4. Kc8

敵のKをd8に入らせない。これで技が決まったように思えるのだが……。

4... Ke6

さて、ここが問題の局面である。Kubbelはここで黒の手として4... Ke6を与えているが、実は 4... Bh4!! と間接的にd8に利かせる手があるのだ。白は 5. Kc7 と戻るしかない。5. c6 ではなぜいけないのか? 5... Kd6 と当てられて、 6. c7 (6. Kb7 は 6... Bd8 でPが落ちる) に 6... Kc6 7. Kb8 Bg3 となり、白は虎の子のPをどうしても失ってしまう。この手順では白はドローどころか負けてしまうのだ。 したがって 5... Bg3+ 6. Kc8 Bh4 の繰り返しをせざるを得ず、ドローになってしまうのである。これを見つけたのはViktor Ilyinskyで、彼の発見は1987年のShakhmaty (Riga) 19号に掲載された。

5. c6

本作は上述の通り不完全作品であるが、一応このあとの流れも見ておこう。白はこの瞬間にPを前進させる。

5... Kd6 6. Kb7 Kc5

黒はもはやこうするしかない。c列のPはBにまかせ、Kで残りのPを取りに行くが……。

7. c7 Bxc7 8. Kxc7 Kb4 9. Kb6

黒はもう一手足りなかった。

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