暗譜での演奏

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今日から、将棋名人戦の第3局が始まっている。第2局まで終えて1勝1敗であり、ここでどちらが勝つかは重要な意味を持ってくるだろう。勝負がつく明日が楽しみだ。

ネット上の生放送で加藤一二三九段が本局の解説をしていたのだが、遅い局面の進行を待つ間、視聴者からの質問にいつもの調子で口角泡を飛ばして面白おかしく答えていた。確か棋譜並べに関する質問に答えたときのことである。「我々プロ棋士は盤駒は使わず、頭の中で棋譜を並べられるんです」と言った後、「そうだ、ピアニストのリヒテルという人がいるんですが......」と思わぬ話題を持ち出した。「リヒテルという人は、ある時期から暗譜をやめたんですね。若いときは全部暗譜して弾いていたんだけど、それだと弾ける曲が限られてしまう。暗譜をやめてから、演奏する曲のレパートリーが広がったっていうんですね。だからプロ棋士も、全部頭の中で並べていればいいかどうかは分かりませんけどね」というようなことをおっしゃったのである。リヒテルがある時期から楽譜を見ながら弾くようになったのはよく知られているが、将棋の解説中にそんな話が飛び出すとは思わなかった。加藤九段、ああ見えてなかなか話題豊富な人である。

むやみに暗譜しようとすべきでない、とは学生時代に所属していたピアノサークルの先輩も言っていたことがある。我々アマチュアは限られた時間でしか練習できないのだから、覚えることに時間を割くくらいならもっと本質的な練習をした方がよい、というわけだ。実際、その通りなのだろうと思う。ただ私自身は、演奏会で弾くときにはやはりなるべく暗譜するつもりでいる。連弾や2台ピアノはまた別だが、ソロの演奏で楽譜を見ながら人前で弾いたのは、この20年でおそらく一度だけ、1年前の演奏会のときのみだ。そのときに感じたのは、演奏中に楽譜と鍵盤を目が行き来することで、どうも気が散ってしまうような気がするということだった。今どちらに目をやるべきかということに頭がいって、肝心の音に集中できないのである。やはり自分のような下手の横好きは、完全に覚え込んでしまうのが性に合っているようだ。

次回の演奏会まで、明日で残り1ヶ月になる。自然に暗譜するくらいまで、もっと練習しよう。

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このページは、natsuoが2012年5月 8日 23:21に書いたブログ記事です。

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