ナインスゲート

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先月くらいから空いた時間に少しずつ読んでいた文庫本を、先日ようやく読み終えた。ロマン・ポランスキー監督の映画「ナインスゲート」の原作である。元々は「呪(のろい)のデュマ倶楽部」というタイトルだったが、文庫化されるときに映画のタイトルと合わせる形で改題された。しかしこの文庫が出たのも19年前で、今はもう絶版になっているようだ。

映画を見たのは何年も前だが、いかにもポランスキーらしい怪しさ、おどろおどろしさが充満しており、特に調査をしている中世の稀覯本におかしな点があることに主人公が気づいていくときの不気味な雰囲気の出し方は、さすがポランスキーと思わせるつくりだった。ただ、映画の最後の30分くらいは、広げるだけ広げた風呂敷のたたみ方が分からなくなってそのまま投げ出してしまったような印象があり、ちょっと妙な感じがしていた。それで、原作はどうなっているのかがちょっと気になっていたのである。

読んでみて分かったが、原作ではある稀覯本とともにデュマの「三銃士」の自筆原稿が登場し、主人公はこの二つのコレクターズアイテムを同時並行的に調査する形になっていた。これに対し、映画ではデュマの原稿に関する話はすべてカットされていた。しかし、当然ながら原作では二つの話が絡み合うことで結末にたどり着いているわけで、着地に必要な要素をバッサリ削ってしまった映画では、どうしても無理をしなければいけなかったのだ。もっとも、原作の通りに映画化しようとしても、話が複雑になりすぎて到底まとめきれないだろう。そう考えてみると、あれでよかったのかもしれない。

本作を書いたアルトゥーロ・ペレス・レベルテの本は、「フランドルの呪画(のろいえ)」を前に読んだことがある。こちらもチェスが登場するので、自分にはぴったりのミステリだった。訳されたものはあまり多くないようだが、またほかの本を読んでみてもいいかもしれない。

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このページは、natsuoが2019年3月15日 23:59に書いたブログ記事です。

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