松田道弘氏の逝去

ツイッターで知ったが、奇術研究家の松田道弘氏が昨年に亡くなられていたということだ。

松田道弘氏の著作を、私は中学生、高校生のころに愛読していた。当時、マジックに凝っていた私は、松田さんの本を始め何冊もマジック解説本を買い込んではあちこちのページを眺めていた。しかし、ほとんどの本は技術的な説明が何ステップかに分けて淡々と書かれているだけで、結局自分のものにできたものはほとんどなかったように思う。しかし松田さんの本は、ミスディレクションとはどういうことかを理解するための題材としてマジックが紹介されており、まず読み物として実に魅力的だった。あのころ、学校の友だちに放課後見せていたカードマジックのほとんどすべては、松田氏の著書「トランプ・マジック」に載っていたものだ。そのころ覚えたものは今でも手順や注意点は頭に入っており、カードがあればいつでも演じることができる。実際、これが自分のものになっていることが、対人コミュニケーションにどれほど役立ったことか。コロナ禍になる前、出張で訪れた研究集会の懇親会で何度かマジックを披露したが、あんなことができるようになったのも、出発点は中高時代に松田氏の著作を読みふけっていたことにある。そう考えてみると、今の自分が形成されるうえで、松田さんの本の存在は相当に大きかったといえるかもしれない。

これを機会に、本棚に並んでいる松田さんの本を久しぶりに読み返してみようと思う。

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